四道(読み)シドウ

デジタル大辞泉 「四道」の意味・読み・例文・類語

し‐どう〔‐ダウ〕【四道】

四つの道。四つの方面
仏語。煩悩ぼんのうを断って涅槃ねはんに達する4種の過程。すなわち、準備として修行をする加行けぎょう道、直接煩悩を断ずる無間むけん道、真理をさとる解脱げだつ道、さらにすぐれた境地に進む勝進道。
律令制で、大学寮に設置された四つの学科紀伝道明経みょうぎょう明法みょうぼう算道
連歌俳諧における付合つけあいの四つの方法そうしたがう(随)・はなつ(放)・さかう
和歌で、本歌取りの四つの方法。古歌の一部を変えること、上・下句を逆につけること、その大意を詠むこと、言葉をかえて詠むこと。

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精選版 日本国語大辞典 「四道」の意味・読み・例文・類語

し‐どう ‥ダウ【四道】

〘名〙
① 四つの道。四つの方向。古く、北陸道・東海道・西海道・丹波道をさしていう。
海道記(1223頃)序「此道は、若四道の間逸興の勝たるか」 〔北史‐魏太武帝紀〕
② 平安時代、大学寮に設けられた四つの学料。紀伝道・明経道・明法道・算道の総称
職原鈔(1340)上「大学寮者、四道儒士出身之処、和漢最為重職、紀伝・明経・明法・算道、謂之四道
③ 仏語。煩悩(ぼんのう)を断って悟りに至る過程を四種に分けたもの。煩悩を断つための予備的段階である加行道、直接、煩悩を断つ無間道、真理を証して悟りを得る解脱道、さらに修行によって悟りの完成に進む勝進道の四つの総称。
今昔(1120頃か)五「若し出家ならば生死の海を断じて三明六通を得て、四道(しだう)四果を具せむ」 〔南本涅槃経‐四〕
④ 連歌・俳諧で付合(つけあい)の基礎的な四つの方法。前句にうち添うて付ける添、前句に従い、前句で言い残したことを補足するように付ける随、前句の意味から離れるように付ける放(離)、前句とは対立するようにつける逆をさしていう。
※四道九品(1545頃)「四道といふは、添(そふ)、随(したがふ)引放(ひきはなつ)、逆(さかふ)
⑤ 和歌で、本歌取りの四つの方法をいう。

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