引放(読み)ひきはなつ

精選版 日本国語大辞典 「引放」の意味・読み・例文・類語

ひき‐はな・つ【引放】

〘他タ四〙
① 矢などを引いてはなつ。はなちやる。
万葉(8C後)二・一九九「引放(ひきはなつ)(や)の繁けく 大雪の 乱れて来れ」
② ひっぱってはなれさせる。むりにはなす。
平中(965頃)二二「この男の乗れる馬、ものに驚きて、ひきはなちて走りければ」
③ 引いてあけはなつ。強くあける。
落窪(10C後)二「かくぬる所まで入りたちて、うちわり、ひきはなちつらんを、とがめざりつらむは」
④ 間をあける。間隔を置く。また、はなち書きにする。
源氏(1001‐14頃)早蕨「歌は、わざとがましく、ひきはなちてぞ書きたる」

ひっ‐ぱなし【引放】

〘名〙 物事はしばしに感じられること。言語動作などのはしに現われること。
俳諧続猿蓑(1698)上「呑ごころ手をせぬ酒の引ぱなし〈曲翠〉 着がえの分を舟へあづくる〈臥高〉」

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