吹流(読み)ふきながし

精選版 日本国語大辞典 「吹流」の意味・読み・例文・類語

ふき‐ながし【吹流】

〘名〙
① 旗の一種。幅広の流れ旗の横上(よこがみ)半月形にたわめ、または輪にして旗竿(はたざお)につけ、風をはらませて長くなびかせるようにした戦国時代以来の軍陣の標識。風で吹流すことによる名称。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② ①の形にならった作りもの。
(イ) 祭などの飾りや気象台などで風向きを知るためなどに用いるもの。
ひょっとこ(1915)〈芥川龍之介〉「お花見の伝馬である。紅白の幕に同じ紅白の吹流(フキナガ)しを立てて」
(ロ) 特に、端午節供で、鯉幟(こいのぼり)などとともに風に靡かせるもの。《季・夏》
風俗画報‐五三号(1893)人事門「鯉魚の吹流のこと更に後にいふべし」
手拭を結ばないで、風に吹かれてその両端がふわりとなるようにかぶること。また、その手拭。
歌舞伎勧善懲悪覗機関村井長庵)(1862)七幕「手拭を吹流(フキナガ)しに冠り出て来り」

ふき‐なが・す【吹流】

〘他サ五(四)〙
① 細長い布や紙片、また髪の毛などを風になびかせる。
太平記(14C後)三一水色の笠符(かさじるし)(フキ)流させ」
② 水の上に浮いている物などを、風が吹いて流す。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 笛などを吹きながら、物乞いして移り動く。
※鶯(1938)〈伊藤永之介〉「酔払って大暴れに暴れてゐたのは尺八を吹き流して歩く虚無僧であったが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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