取直(読み)とりなおす

精選版 日本国語大辞典 「取直」の意味・読み・例文・類語

とり‐なお・す ‥なほす【取直】

〘他サ五(四)〙
① 物を手で持ちなおす。あらためて持つ。
源氏(1001‐14頃)梅枝「筆とりなをし、用意し給へるさまさへ」
② 一度失敗したりして、もう一度物事をしなおす。あらためてする。なおす。訂正する。また、自分の都合のよいようになおす。
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「ありし様など、すこしはとりなをしつつ、語りきこえ給ふ」
③ 悪い状態に陥った物事をもとの状態にもどす。沈んだ気持などを平静な状態にもどす。また、病気などを回復させる。
※看聞御記‐応永二五年(1418)八月一二日「武衛所労聊取直云々」
人情本春色梅児誉美(1832‐33)後「ややしばらく物もいはずにありけるが、やがて心を取(トリ)なほし」
相撲で、勝負のはっきりきまらなかったとき、もう一度取組をする。
※俳諧・文政句帖‐七年(1824)壬八月「内へ来て取直しけりまけ角力」
⑤ (撮直) 撮影複写などをあらためてやりなおす。

とり‐なおし ‥なほし【取直】

〘名〙
① もう一度しなおすこと。あらためてすること。
洒落本・公大無多言(1781)「手代はとり直しがねえから」
② 相撲で、勝負をやりなおすこと。取組をしなおすこと。
③ (撮直) 撮影・複写などをあらためてやりなおすこと。

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