半銭(読み)キナカ

デジタル大辞泉 「半銭」の意味・読み・例文・類語

き‐なか【半銭/寸半】

《「き」は1寸、「なか」は半分の意。一文銭直径が1寸であるところから》
1文の半分。半文
「(十文トルマデハ)いかな九文―でも、堪忍ばし召さるな」〈浄・歌念仏
半分。
小男鹿さをしか八つの御耳どころか、―ある御耳でも、あっちら向いて聴く事ではない」〈滑・浮世風呂・四〉

はん‐せん【半銭】

1銭の半分。また、その貨幣。5厘。
ごくわずかな金銭。「一紙半銭

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「半銭」の意味・読み・例文・類語

はん‐せん【半銭】

[1] 〘名〙
① 一銭の半分。五厘。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ わずかばかりの金銭。
※貞享版沙石集(1283)四「半銭の分無きが如しとも云へり」
[2] 狂言鷺流獄卒の鬼が六道のつじに来かかった僧とばくろう十王の前に連れて行ったところ、十王はばくろうを生前の罪によって馬にするが、僧については思案の末、生前うけた施物を返させようとする。僧は仏典にある一紙半銭の志でもって徳果を願うことができるという旨のことばに基づいて、施物に何も執着していないことを告げると、十王と獄卒は僧を敬い、ばくろうの化した馬に乗せて寂光浄土に送る。

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