割賦販売法(読み)カップハンバイホウ

デジタル大辞泉 「割賦販売法」の意味・読み・例文・類語

かっぷはんばい‐ほう〔‐ハフ〕【割賦販売法】

割賦販売における公正で健全な取引の維持消費者の保護とを目的とした法律。昭和36年(1961)制定割販法
[補説]昭和47年(1972)の改正で、クーリングオフなどによる購入者の保護や、割賦販売が終了するまで割賦販売業者に商品の所有権があること、割賦購入の斡旋業務には経済産業大臣認可(割賦購入あっせん業者登録簿への登録)が必要であることなどが規定された。また、平成20年(2008)改正で、クレジット会社に対して、訪問販売業者等の勧誘行為に関する調査や既払い金の返還などの義務を課し、また個別クレジット業者を登録制とするなど、規制が強化された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「割賦販売法」の意味・わかりやすい解説

割賦販売法
かっぷはんばいほう

昭和36年法律159号。割賦販売ローン提携販売信用購入斡旋,前払式特定取引などについて規定し,取り引きの公正さを確保することによってその健全な発達をはかり,消費者を保護することを目的とする。販売信用(→消費者信用)の拡大や取引形態の多様化,消費者問題などに対応するためたびたび改正された。販売業者が割賦販売を行なう際,現金販売価格(商品の引き渡しや役務の提供と同時に代金全額を受領する場合の価格)や割賦販売価格などを表示することや,契約締結時に割賦販売価格などを記した書面を購入者に交付することを販売業者に義務づける。営業所以外の場所で割賦販売契約が締結された場合,一定の条件のもとで購入者に契約解除権を認める(→クーリング・オフ)。割賦販売された商品の所有権については,支払いが終了するまで割賦販売業者に留保されると推定すると定められている。クレジットカード番号の適切な管理について規定し,クレジットカード情報の不正利用,不正取得を処罰の対象とする。虚偽に基づく契約は無効とし,購入者が代金の返還を要求できるとする。割賦販売業者に消費者の支払い能力調査を義務づけ,その能力をこえた契約を禁止する。ローン提携販売などにも割賦販売と同種の規制を設けている。(→特定商取引法

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百科事典マイペディア 「割賦販売法」の意味・わかりやすい解説

割賦販売法【かっぷはんばいほう】

割賦販売等に係る取引を公正にし,その健全な発達を図ることにより,商品の流通を円滑にすることを目的とする法律(1961年)。制定以来のたびたびの法改正によって,現在では消費者保護に重点がおかれている。政令で定めた商品(家具,書籍,自動車等多くの耐久消費財)についてこの法律が適用され,割賦販売業者に対して,割賦販売条件の明示,契約書の交付,契約の解除の制限,損害賠償額の制限などを規定。特に前払式割賦と割賦購入斡旋(あっせん)はきびしく規制される。
→関連項目アド・オン方式失権約款

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世界大百科事典(旧版)内の割賦販売法の言及

【割賦販売】より

…この方式は,商品代金の全額を分割払いによって完済させた後で商品を引き渡すもので,厳密な意味では割賦販売ではなく,むしろ予約販売であるが,一般に予約式割賦販売という名称が慣用化している。消費者金融【木綿 良行】
[割賦販売法]
 割賦販売は,通常の売買に比べ販売促進に有効であるが,売掛金の回収に不安が残り,消費者問題を引き起こす危険もある。このような特質に対応するものとして1961年に制定されたのが割賦販売法である。…

※「割賦販売法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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