剤(漢字)

普及版 字通 「剤(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)劑
16画

[字音] ザイ・サイ
[字訓] わりふ・くすり

[説文解字]
[その他]

[字形] 会意
旧字は劑に作り、齊(斉)(せい)+刀。齊は省文は方鼎。劑はの側面に銘刻を加える意。重要な契約や盟誓の辞は、これを鼎銘として加え、約剤という。〔周礼、地官、司市〕「質劑を以て信を結び、を止む」、また〔周礼、地官、質人〕「そ賣(ばいゐく)するは、質劑す。大市は質を以てし、小市は劑を以てす」とあり、質ももと鼎に従う字で、鼎銘をいう。〔周礼、春官、詛祝〕に「詛の載辭(神に祝する文)を作りて、以て國の信用を敍(の)べ、以て國の劑信を質(あき)らかにす」とあり、質もまた盟約を明らかにするものであった。周初の〔麦尊(ばくそん)〕に「二百家劑を賜ふ」とあり、その銘は権利証書としての意味をもつものであったと思われる。〔説文〕四下に「齊しきなり」とするのは、齊が方鼎のであることがすでに忘れられていたからであろう。のち薬剤などの意に用いる。

[訓義]
1. けいやく、けいやくの書、てがた、わりふ、契券、券書。
2. きる、きりたつ、きりそろえる。
3. 斉と通じ、あわせる、調合する、くすり。

[古辞書の訓]
名義抄〕劑 ヘソ・ワヅカ・キル・ハカル 〔字鏡集〕劑 カギル・ヒトシ・キハル・サク・ハカル・キル・ワカツ・ヘソ

[語系]
劑・齊dzyeiは同声。韻書にみえない字であるが、おそらく同声であろう。劑の従う齊はの省文である。

[熟語]
剤熟・剤信剤銭・剤調剤刀・剤料・剤量・剤和
[下接語]
医剤・液剤・滑剤下剤散剤・質剤・瀉剤・主剤・酒剤・錠剤・色剤・製剤洗剤剤・丹剤調剤・鉄剤・吐剤・湯剤・軟剤・乳剤・配剤・秘剤・粉剤・方剤・宝剤・蜜剤・妙剤・約剤・薬剤・余剤・溶剤・両剤・和剤

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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