共融点(読み)キョウユウテン

デジタル大辞泉 「共融点」の意味・読み・例文・類語

きょうゆう‐てん【共融点】

複数成分が混ざり合う溶液から共融混合物が生じる温度共晶点

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化学辞典 第2版 「共融点」の解説

共融点
キョウユウテン
eutectic point

二成分系以上の固液平衡において,各成分が融液から同時に析出する温度,逆にいえば,各成分の固体結晶が同時に融解する温度.二成分AとBとが固溶体をつくらない場合は,一般に純成分Aの液体にほかの成分Bを溶かすと凝固点は低下し,凝固のとき純成分Aの結晶を析出する.成分Bについても同様である.そして,ある特定組成のとき,この二成分混合液体の凝固点は最低となり,成分AとBの結晶を同時に析出する.この場合,系は二成分三相となるから,圧力一定とすれば相律により不変系となり,三相が共存するかぎり凝固が完了するまで温度は一定である.析出した両成分の固相はA,Bの結晶の緊密な混合物であり,共融混合物または共晶という.三成分系では一液相二固相の共存する系は一変系であるから,上記の一対の二成分の共融点は第三成分の増加とともに低下し,ついにはどの二元共融点よりも低い三元共融点に達する.[別用語参照]融点図

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百科事典マイペディア 「共融点」の意味・わかりやすい解説

共融点【きょうゆうてん】

共晶の析出する温度。2成分系では外圧が決まれば一定。三つ以上の成分が混合した液体からは,さまざまな温度で2成分以上の共晶が析出してくるのがふつうで,共融点は一定とは限らない。すべての成分が同時に析出し始める温度まで混合物が液体である場合に限り,決まった共融点をもつ。
→関連項目寒剤

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岩石学辞典 「共融点」の解説

共融点

二種類の成分が一定の割合で混合した濃度(共融混合物)の時に,最低の温度(共融温度)で熔融する特定の点[吉本 : 1959].特定の圧力下では最低の温度で,この点では二種またはそれ以上の鉱物が互いに液相と共存が可能である.またこの温度では二種またはそれ以上の鉱物が,同時にそれぞれ一定の重量比率で晶出することができる[Wahlstrom : 1950].二成分系の共融点では三相が共存し自由度は1となる.

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栄養・生化学辞典 「共融点」の解説

共融点

 多くの成分を含む液を冷却したとき,共晶を生成する温度.

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世界大百科事典(旧版)内の共融点の言及

【共晶】より

…2種の結晶が細かく混合してできた機械的混合物でありながら,溶けるときにも一定温度を保つ純粋結晶のごとき挙動を示す。その融解温度を共晶点または共融点eutectic pointと呼ぶ。共融組成以外の溶液では最初に純成分AまたはBが析出し,温度の低下とともにしだいにその量を増しながら最終的に共融点で共融混合物が析出する。…

※「共融点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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