混合物
こんごうぶつ
mixture
2種以上の物質が互いに結合せずに単に混ざり合って存在しているものをいう。化合物に対する語。砂糖は水に溶けて砂糖水になり、そのどの部分をとっても砂糖水としての均一な性質を示す。空気でも同じく、窒素、酸素、二酸化炭素、希ガスなどが混じり合い、どの部分をとっても同じ性質を示す。しかしこれらは、濾過(ろか)、蒸留、再結晶、冷却などの物理的手段によっていくつかの物質に分けることができるし、またそれらをふたたび混ぜ合わせて混合物とすることができる。これらの砂糖水や空気などが混合物である。これらは均一な混合物であるが、これに対し固体の砂糖と食塩を混ぜたものは見かけは均一であっても実際には不均一な混合物である。
このような混合物に対し、酸素と水素の化合した水分子は、単に酸素と水素とを混合したものではなく、普通に酸素と水素に分けることはできず、化合物といっている。1種類の単体または化合物のみからなる物質を純物質といっている。純物質は固有の融点、沸点などをもつが、混合物ではほとんどつねに低くなっている。このため、融点、沸点などの測定で、混合物であるか化合物であるかを判定できることが多い。水素結合や電子移動力など、比較的弱い結合力で異種分子間に相互作用があるときは、化合物と混合物との区別が多少あいまいになっているときもある。
[中原勝儼]
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こんごう‐ぶつ コンガフ‥【混合物】
〘名〙
① 二種以上のものがいりまじって一つとなっているもの。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「
両者の間は永久面白からぬ混合物で」
② 化合物に対して、二種以上の物質が、それぞれの性質をもったまま、互いに
化学結合をしないで、単にまじりあって一体となっているもの。
※小学
化学書(1874)〈文部省〉二「其燐少しく附木の先に粘著し其端の混合物に触れて忽燃ゆるなり」
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混合物【こんごうぶつ】
2種以上の物質が混ざったもの。各成分がさまざまな比率で存在し得ること,混合しても成分の性質はそのままであることなどによって化合物と区別される。また混合物は物理的な手段によってもとの成分に分離することができる。たとえば空気は酸素と窒素を主成分とする混合物であるが,水は水素原子2に酸素原子1の一定比率で化学結合した化合物である。
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混合物
コンゴウブツ
mixture
2種類以上の異なる物質が物理的にまじり合ったもの.各成分が完全にまじり合って一つの相となった均一(均質)な混合物(溶液,固溶体など)と,2相以上を含む不均一(不均質)な混合物とがあるが,自明の場合には均一,不均一などを省略することが多い.
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デジタル大辞泉
「混合物」の意味・読み・例文・類語
こんごう‐ぶつ〔コンガフ‐〕【混合物】
2種以上のものがまじって一つとなったもの。特に、それらの間に強い化学結合を生じないでまじり合ったもの。化合物に対していう。
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
こんごうぶつ【混合物 mixture】
2種以上の物質がたがいに化学結合せずに混じっているもので,化合物に対する語である。空気や砂糖水のような均一なものと,土砂や泥水のような不均一なものがある。たとえば,砂糖水はショ糖と水という異種の分子が混じってできていて,外見は無色透明で水だけと区別がつかず,どの部分をとっても甘みなど同じ性質を示し,水の性質とショ糖の性質の両方をもっている。しかし砂糖水を加熱すると水だけが水蒸気になって分かれてきて,残った砂糖水の濃度は高くなる。
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