克(漢字)

普及版 字通 「克(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(異体字)剋
9画

[字音] コク
[字訓] よくする・かつ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
木を彫り刻む刻鑿(こくさく)の器の形。上部は把手、下は曲刀の象。〔説文〕七上に「(かつ)ぐなり。屋下の木の形に象る」とあり、支柱の意とする。しかし金文字形では、下部が曲刀をなしており、また〔説文〕古文の第二字は明らかに刻の形、すなわち錐もみの器である。刻鑿・掘鑿(くつさく)に用いる。〔詩、大雅、雲漢〕「后稷(こうしよく)克(しる)さず」の〔箋〕に「克は當(まさ)にに作るべし。(しる)すなり」とあり、克はその克識を施すための器である。ものを刻することから、克能・克勝の意となり、また克己のように用いる。

[訓義]
1. ほる、きざむ、しるす、その器。
2. よくする、なす。
3. かつ、たえる、うちかつ、かちとる。
4. かつぐ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕克 ヨシ・カツ・マタシ 〔立〕克 タタカヒ・マクル・ヨモカツ・マヨフ・ヨシ・ヨク・マコト・ヒロシ・スグル 〔字鏡集〕克 タスク・マコト・タタカフ・ニブシ・エタリ・スグル・マタシ・タフ・カツ・ヨシ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に重文の字のみを録する。

[声系]
剋は克声。克は刻鑿の器。その下部は曲刀の形。古文は錐もみの形に作る。剋は克にさらに刀を加えたもの、尅はその俗字である。

[語系]
克・(刻)khkは同声。kheat、(契)・khyatは声義近く、契刻のように連用する。みな刻鑿をいう。また堪・戡khmも声近く、堪は「勝つ、任(た)う」と訓する字で、克と同義。その字は堪任、すなわちものをうちたたく台。戡も「克つ、勝つ」と訓し、堪をもって戈をうちきたえる意の字である。克が刻鑿の器であるように、堪・戡は工冶の器で、そこに共通の義が求められる。

[熟語]
克厭・克果・克家克諧克堪・克己・克期・克勤・克苦克倹・克孝・克済・克糸・克似・克日克肖・克昌克捷克紹・克勝・克譲克尽克綏・克成・克責克翦・克壮克治・克定克殄克剝克伐克敏・克復克伏・克服・克平・克暴・克明・克乱
[下接語]
温克・忌克・謙克・柔克・相克・超克・独克・不克・

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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