さく‐じ【作事】
〘名〙
①
殿舎、
家屋などをつくり、また修繕すること。建築工事。
※薬師院文書‐大同二年(807)五月二二日・
太政官牒「為
レ修
二理御在所
一、件工要須、寺察
二此状
一、早速進上。作事有
レ期、勿
レ致
二闕怠
一」
※
浮世草子・日本永代蔵(1688)六「やうやう願ひ叶ひ作事
(サクシ)に取つき、所にては天晴棟高くおもひのままに作り立て」
② 動作、働きぶり。
※
随筆・約言或問(1831か)二〇「或は人君之作事、或は日本の地理風土など、皆研究すべし」 〔
春秋左伝‐襄公三一年〕
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デジタル大辞泉
「作事」の意味・読み・例文・類語
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さくじ【作事】
殿舎,邸宅等を築造すること。神社,仏閣の築造は室町時代とくに造営といった。また普請は築地,庭園の造作等の土木工事を指す語として用いられた。近世初頭の城郭建設においては,石垣工事等を普請,殿舎を建築することを作事といい,普請奉行と作事奉行がそれぞれ指揮・監督した。しかしその後,江戸幕府作事奉行の職務が小普請奉行に分掌されるなど,作事と普請の語義上の差異はしだいにあいまいになった。【松尾 美恵子】
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普及版 字通
「作事」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の作事の言及
【建築】より
…〈建築〉という用語は比較的新しく,1897年(明治30)に造家(ぞうか)学会が建築学会と改称してから公認されたもので,建築学者の伊東忠太がアーキテクチャーarchitectureに対応する新語として提案した。それまでは,土木建築工事一般を〈普請(ふしん)〉,建物に関する工事を〈作事(さくじ)〉と呼んでいた。アーキテクチャーとは,単なる建造物building,structureに対して,一定の芸術的様式をもつ建物一般をさす集合名詞であり,かつ,それらをつくりだす建築技芸の体系を意味する。…
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