日本大百科全書(ニッポニカ) 「三芳(千葉県)」の意味・わかりやすい解説
三芳(千葉県)
みよし
千葉県南部、安房郡(あわぐん)にあった旧村名(三芳村(むら))。現在は南房総市(みなみぼうそうし)の中央部を占める地域。旧三芳村は1953年(昭和28)稲都(いなみや)、滝田(たきだ)、国府(こくふ)の3村が合併して成立。2006年(平成18)、安房郡富浦町(とみうらまち)、富山町(とみやままち)、白浜町(しらはままち)、千倉町(ちくらまち)、丸山町(まるやままち)、和田町(わだまち)と合併して市制施行、南房総市となった。旧村域は安房丘陵の南斜面と館山(たてやま)湾に注ぐ平久里(へぐり)川流域からなり、海には面していない。谷向貝塚(やむかいかいづか)など縄文遺跡が多く条里制の遺構もあり、府中(ふちゅう)に安房国の国府が置かれたという。安房酪農の一中心で生乳や乳製品の生産が多く、米作、花卉(かき)栽培、キュウリ、トマトなどの野菜栽培やメロン、イチゴなどの果実栽培、タケノコの生産が盛んで、また温州(うんしゅう)ミカンも産する。日枝(ひえ)神社の御神的(おまと)神事は稲作の豊凶を占う弓射の儀式で、県無形民俗文化財に指定されている。
[山村順次]
『『三芳村史』全3巻(1980~1984・三芳村)』