乳製品
にゅうせいひん
主として牛乳を原料とし、その保存性を高める目的で加工された製品の総称。加工の方法は大別して、
(1)牛乳の脂肪分を分離収集する(バター)
(2)発酵させる(チーズ)
(3)濃縮またはそれに加糖する(練乳)
(4)乾燥する(粉乳)
などが代表的なものである。広い意味では、かならずしも食品として利用されないカゼイン、乳糖なども含まれる。
日本の厚生省令「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」では、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、および乳飲料を「乳製品」として定義している。しかし国際的にみると、乳製品利用の歴史は古く、その国の風土、民俗の変遷によって、それぞれの食生活に密着した、原料乳(たとえば羊乳、山羊(やぎ)乳、馬乳など)や加工法の違う、固有の乳製品が数多く存在している。
なお、乳は、アレルギーをおこしやすい食品のなかでも症例数が多いため、食品衛生法施行規則で「特定原材料」に指定されており、乳を含む加工食品については、2002年(平成14)4月からその表示が義務化されている。
[新沼杏二]
『野村泰三著『日本乳製品小史』(1969・有隣堂)』▽『中西武雄著『牛乳・乳製品の微生物学』(1983・地球社)』▽『庄野千鶴著『WTOと国際乳製品貿易』(2001・農林統計協会)』▽『鷹尾亨編著『牛乳・乳製品の実際知識』第6版(2001・東洋経済新報社)』▽『足立達著『乳製品の世界外史――世界とくにアジアにおける乳業技術の史的展開』(2002・東北大学出版会)』
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乳製品
にゅうせいひん
dairy products
ウシ,ヤギ,ヒツジなどの哺乳動物の乳を人間の食用として利用する加工品。生産は有史以前にさかのぼり,乳を得る目的でウシの品種改良も行われた。乳製品にはそのまま飲用とするもののほか,発酵乳・乳酸菌飲料,チーズなど発酵を利用したもの,クリームやバターのように脂肪分を分離させたもの,濃縮乳や練乳など濃縮したもの,粉乳のように乾燥させたもの,アイスクリームのように甘味料や香料を加え加工したものなど多くの種類がある。加工を加えることにより保存性や輸送性にすぐれるほか,栄養価値や嗜好価値が変化してくる。 (→乳製品工業 )
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にゅう‐せいひん【乳製品】
〘名〙 動物の乳(ちち)、特に牛乳を加工した製品。バター、チーズ、練乳、粉乳などの総称。
※旅‐昭和二六年(1951)
酪農エレジー「北海道が乳製品では全国の八割以上を一手で
製造しているというその強味が」
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にゅう‐せいひん【乳製品】
牛乳を加工した食品。バター・チーズ・ヨーグルトなど。
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
にゅうせいひん【乳製品】
牛乳またはその成分を原料とし,加工した製品をいう。飲用牛乳は通常乳製品には含めない。加工により,牛乳と異なる栄養価値,嗜好価値をもつ製品,あるいは保存性,輸送性のすぐれた製品が得られる。アイスクリーム,ヨーグルトなどは前者の例であり,粉乳,練乳などは後者の例である。日本では生産される牛乳の60%が飲用牛乳に,40%が乳製品加工に用いられている。おもな乳製品には,全脂粉乳,脱脂粉乳,調製粉乳,加糖練乳(コンデンスミルク),無糖練乳(エバミルク),クリーム,バター,アイスクリーム,チーズ,発酵乳,乳酸菌飲料などがある。
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世界大百科事典内の乳製品の言及
【乳業】より
…牛乳およびバター,チーズなど,牛乳を加工した乳製品を製造する産業。日本の1995年の原乳生産量は838万tで,うち514万tが飲用向け,311万tが乳製品向けとなっている。…
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