丈・長(読み)たけ

精選版 日本国語大辞典 「丈・長」の意味・読み・例文・類語

たけ【丈・長】

〘名〙
① 物の高さ。人の身長。また、物の長さ。
書紀(720)天智一〇年三月(北野本訓)「常陸国の中臣部若子、貢子。長(タケ)尺六寸」
② 人の身長をもとにした長さの単位
※足利本論語抄(16C)郷党第十「寝時の衣は今の被(ふすま)也 長さ一たけなかばにするなり」
③ 特に和服で、肩山から裾までの長さ。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)九「ちょっと着てお見せ、丈(タケ)や行が間違やアしないか」
④ 馬の蹄(ひづめ)から背までの高さの称。四尺(約一・二メートル)以上、五尺(約一・五メートル)以下を標準とする。また、単に背の高い意にも用いられる。
今昔(1120頃か)二八「真鹿毛なる馬の法師髪にて、長五つき許なるが、足固くて年七八歳許也」
⑤ ある限り。ありたけ。全部。限り。「ありったけ」「くびったけ」などの形で、接尾語のようにも用いる。
山家集(12C後)中「ものおもふ心のたけぞしられぬるよなよな月をながめあかして」
⑥ 壮大な風格。雄大な趣。
※今鏡(1170)六「おとどの御うたたけもたかくいとやさしくこそきこへ侍しか」
⑦ 勢い。
※今昔(1120頃か)一〇「軍の長(たけ)劣りたるに依て難支得し」
目方の単位。
壒嚢鈔(1445‐46)九「四分を為一両。十二両を為一長(タケ)
[語誌]「高い」と同根の語で、「観智院本名義抄」に「長」の訓として「タキタカシ」とあるように、古くは「たき」ともいった。本来、物の高さを指す語で、「平家‐二」に「たけ七尺ばかり」とあるなど、具体的に尺度の示されることが多かった。これに対して、「せ(背)」は本来は「はら(腹)」に対する語で動物などの首から尻尾までの部分を指す語であったが、立っている動物では足下から「せ」までの高さを指すようになり、「たけ」と類義の語となった。

たき【丈・長】

〘名〙 =たけ(丈)
※法華義疏長保四年点(1002)一「身の長(タキ)一丈五尺二寸なり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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