ロサンゼルス・タイムズ(読み)ろさんぜるすたいむず(英語表記)Los Angeles Times

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロサンゼルス・タイムズ」の意味・わかりやすい解説

ロサンゼルス・タイムズ
ろさんぜるすたいむず
Los Angeles Times

アメリカ西部最大の日刊新聞。1881年創刊。同紙は、創刊3年後、タイムズ・ミラー社を設立したハリソン・グレー・オティスHarrison Gray Otis(1837―1917)に引き継がれ、1917年ハリソンの女婿のハリー・チャンドラーHarry Chandler(1864―1944)が発行責任者となり、以後、チャンドラー一族が発行し続けた。同紙は長らく、共和党系の保守的な新聞で記事内容が公平とはいえない、という評価を得ていたが、1960年オティス・チャンドラーOtis Chandler(1927―2006)が33歳で発行責任者となって以来、さまざまな改革によって大きく変わったといわれる。ワシントン支局や海外特派員を質・量ともに充実させ、ニュース報道に重点を置き、バランスのとれた紙面づくりを行うほか、製作部門の近代化に積極的に取り組んできた。その結果、過去のイメージを払拭(ふっしょく)し、『ニューヨーク・タイムズ』紙や『ワシントン・ポスト』紙と並ぶ高い評価を得ている。コラムや調査報道でも定評がある。2000年に親会社のタイムズ・ミラー社は、トリビューン社に買収された。そのトリビューン社は2007年にシカゴの不動産王サミュエル・ゼルSamuel Zell(1941―2023)が経営権を握ったが、業績不振により2008年に連邦破産法申請を行った。ただし新聞発行を含む多くのメディア事業は継続している。発行部数は平日版90万部(2009)。

[鈴木ケイ・木村綾子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロサンゼルス・タイムズ」の意味・わかりやすい解説

ロサンゼルス・タイムズ
Los Angeles Times

アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスで発行されている日刊紙。1960年代に地方紙から世界屈指の有力紙に発展した。1881年創刊。1884年,同紙の共同所有者だったハリソン・グレー・オーティスが,新聞と印刷業を統合し公開会社タイムズ・ミラーを設立した。まもなくカリフォルニア州で大きな政治的影響力をもつようになり,特に州南部の声を代表する媒体となった。1928年には他都市への新聞搬送に飛行機を利用し始めた。1917年にオーティスの義理の息子ハリー・チャンドラーが事業を引き継いで以来,3代にわたりチャンドラー家のもとに置かれた。1991年に 3代目のオーティス・チャンドラーが会長を退いたのち刷新されたが,新紙面は記事と広告の境を曖昧にしているという批判も寄せられた。2000年6月,タイムズ・ミラーが『シカゴ・トリビューン』を発行するトリビューンに買収され,傘下に入った。2004年にはピュリッツァー賞を,『ロサンゼルス・タイムズ』にとって年間最多の 5部門で受賞するという栄誉に輝いた。また 2005年,同紙はエンターテインメントの賞を速報するオンライン版 "The Envelope"を立ち上げるなど新戦略を打ち出した。

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