リチャード(3世)(読み)りちゃーど(英語表記)Richard Ⅲ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リチャード(3世)」の意味・わかりやすい解説

リチャード(3世)
りちゃーど
Richard Ⅲ
(1452―1485)

ヨーク朝最後のイギリス王(在位1483~85)。兄エドワード4世が王位につくとグロスター公に叙せられて北部イングランドの統監となり、治績をあげた。また、1483年4月兄の子エドワード5世が即位すると、始めはよく王を補佐したが、6月になると、王が嫡出でないことを理由に廃位し、自ら戴冠(たいかん)して王位に上った。王はまもなく、廃位したエドワード5世とその弟(ヨーク公)をロンドン塔で殺害させた。リチャードは、王位簒奪(さんだつ)の不人気を挽回(ばんかい)するため秩序の維持に努め、貿易をおこして財政改革を志すなど国政に精励したが、十分な成果をあげるまもなく、85年チューダー家のヘンリー(後の7世)とボズワースで戦い、敗死した。かくてランカスター、ヨーク両王家が対抗したばら戦争は終結し、チューダー朝が開かれた。リチャードはシェークスピアの史劇では酷薄非情の悪人に描かれ、その評価大筋で正しいが、史実と一致しない部分がある。

松垣 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「リチャード(3世)」の解説

リチャード(3世)
Richard Ⅲ

1452〜85
イギリス王(在位1483〜85)
ヨーク家最後の王。甥 (おい) のエドワード5世の摂政となったが,王およびその弟ヨーク公リチャードをロンドン塔に幽閉して王位についた。リッチモンド伯ヘンリ(ヘンリ7世)と戦って戦死。シェークスピアの劇『リチャード3世』では悪役であるが,その歴史的評価には諸説がある。

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