日本大百科全書(ニッポニカ) 「メボソムシクイ」の意味・わかりやすい解説
メボソムシクイ
めぼそむしくい / 目細虫喰
arctic warbler
[学] Phylloscops borealis
鳥綱スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科の鳥。日本古来の名はメボソという。ムシクイ類の1種で、全長約13センチメートル。上面は暗緑色、下面は淡黄色で、黄白色の眉斑(びはん)がある。ユーラシアの北部とアラスカの一部に繁殖分布し、いずれの地方のものも中国南部と、東南アジアすなわちインドシナ半島、フィリピンなどで越冬する。これは、アジア北部に限られていた繁殖地が東西に広がったことを示すものと考えられている。日本では、本州と四国の高山帯に生息し、チョチョリ、チョチョリと聞こえる声でさえずる。6、7月に地上のくぼみに球形の巣をつくり、4、5卵を産む。抱卵日数は約16日である。なお、シベリア、ウスリー地方、樺太(からふと)(サハリン)などで繁殖し、春秋の渡りの際に多数が日本を通過する亜種をコメボソムシクイ(古名コムシクイ)という。
[竹下信雄]
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