ハズ(英語表記)croton(oil plant)
Croton tiglium L.

デジタル大辞泉 「ハズ」の意味・読み・例文・類語

ハズ

ハズバンド」の略。
[類語]主人亭主旦那夫君内の人宿六ハズバンド良人旦つく先夫前夫亡夫男鰥おとこやもめ寡夫

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精選版 日本国語大辞典 「ハズ」の意味・読み・例文・類語

ハズ

〘名〙 「ハズバンド」の略。〔外来語辞典(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ハズ」の意味・わかりやすい解説

ハズ
croton(oil plant)
Croton tiglium L.

東南アジアの熱帯に産するトウダイグサ科の常緑亜高木。高さ2~7m。葉は互生し,長さ10cm内外,心臓形で青銅色を呈し,光沢がある。花期は不定。日本では4月あるいは9月に開花した記録がある。枝先に細長い穂状の花序が直立し,黄白色の小さな単性花(径6mm)を多数つける。雌花の花序の下部につく。果実は倒卵形の分果で,3種子を入れる。種子は長さ1.2~2cm。灰褐色の扁平な楕円体で,トウゴマの種子に似る。属名は種子の形がダニに似ているところから,ギリシア語のダニkrotōnに由来。種子からとれる巴豆油(はずゆ)は工業用として重用されるが,ラウリン酸パルミチン酸ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸などを含む。このほかフォルボールphorbolを含む有毒性樹脂分を含む。葉は殺虫剤あるいは湿疹などの治療薬として用いられる。材は緻密(ちみつ)で白色。スリランカジャワ,中国南部,台湾などで広く栽培され,野生化している。日本ではわずかに九州南部に植栽されることがある。

 ハズ属Crotonはアメリカ,アジアの熱帯に約500種あり,日本には沖縄にグミモドキC.cumingii Muell.Arg.が自生する。なお,観葉植物のクロトンはトウダイグサ科のクロトンノキ属Codiaeumの植物である。
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種子を巴豆という。脂肪油を含み,他の生薬と配合して瀉下(しやげ)薬とするが,腹水がたまり腹部膨満を伴う場合,単独で用いて効がある。また,強い排膿作用があり,肺膿瘍などに他の排膿薬と併用される。さらに,おできなどに他の生薬と配合して外用し,解毒止痛,止痒(ししよう)の効果がある。毒性タンパク質を含むので内服には注意を要する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハズ」の意味・わかりやすい解説

ハズ
はず / 巴豆
purging croton
[学] Croton tiglium L.

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の常緑高木。中国南部、台湾以南の熱帯アジアに分布する。高さ6~10メートル。葉は互生し、長さ2~6センチメートルの柄をもつ。葉身は卵形または長卵円形で長さ8~12センチメートル、幅6センチメートル、先端は緩くとがり、葉柄の近くに2個の腺体(せんたい)がある。雌雄同株で、3月から5月にかけて長さ10~12センチメートルの総状花序を頂生するが、全部が雄花のものと、上部に雄花、下部に雌花をつけるものとがある。雄花は緑色で萼(がく)は5裂し、花弁5個をもつが、雌花には花弁がない。蒴果(さくか)は長円形ないし倒卵形で、三鈍角をなし、3個の種子をもつ。

 果実は8月から9月にかけて成熟するが、裂開する前に採取し、取り出した種子を漢方では巴豆(はず)と称して峻下(しゅんげ)剤として使用する。巴豆を主薬とした処方では紫円(しえん)が有名である。また、種子を冷圧して得る脂肪油(30~45%)を巴豆油といい、皮膚に強い刺激を与えるので発疱(はっぽう)薬とするほか、峻下剤にも使用される。しかし、巴豆は毒性も作用も強いため、使用に際しては注意を要する。

[長沢元夫 2020年6月23日]

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世界大百科事典(旧版)内のハズの言及

【クロトン】より

…トウダイグサ科の低木で,変異を生じやすく,マレーシアを中心に,熱帯各地で多くの品種が栽培される。一般にクロトンcrotonと呼んでいるが,これは英名で,植物分類上のハズ属(クロトン属)Crotonとは異なる。クロトンノキ,ヘンヨウボク(変葉木)の和名がある。…

※「ハズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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