デジタル大辞泉
「夫」の意味・読み・例文・類語
つま【▽夫/妻】
《「端」の意》
1 夫婦や恋人が、互いに相手を呼ぶ称。
「吾はもよ女にしあれば汝を置て男はなし汝を置て―はなし」〈記・上・歌謡〉
2 動物のつがいで、互いの相手。
「下辺にはかはづ―呼ぶ」〈万・九二〇〉
3 鹿と萩、秋風と萩など、関係の深い一組のものの一方をいう語。
「小牡鹿の―にすめる萩の露にも」〈源・匂宮〉
[類語]家内・女房・細君・かみさん・ワイフ・かかあ・山の神・妻・ベターハーフ
ぶ【▽夫】
1 公事などのために徴発された人夫。夫役に従う人夫。
「この御堂の―をしきりに召す事こそ」〈大鏡・道長上〉
2 (「歩」とも書く)雑兵。
「かたちをやつし―になり」〈太平記・一〇〉
ひこ‐じ〔‐ぢ〕【▽夫】
《「ひこ」は男子の美称。「じ」は敬称》おっと。
「その―答へて歌ひたまひしく」〈記・上〉
お‐うと〔を‐〕【▽夫】
《「おひと」の音変化》おっと。
「―は若く色衰へず盛りなる程なり」〈水鏡・上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ぶ【夫】
〘名〙
① 公事のために徴発された人。夫役(ぶやく)の人夫。
※続日本紀‐神護景雲元年(767)九月乙丑「始造
二八幡比売神宮寺
一。其夫者便
二神寺封戸
一」
② (「歩」とも書く) いくさにかり集められた人足。名もない
下級の兵士。雑兵
(ぞうひょう)。
※太平記(14C後)一〇「貌をやつし夫(ブ)になり、中間二人に物具きせて馬にのせ」
ひこ‐じ ‥ぢ【夫】
〘名〙 (「ひこ」は男子の美称。「じ」は敬称) りっぱな夫をいう。男子の名の一部にも用いる。
※古事記(712)上「其の比古遅(ヒコヂ)〈三字は音を以ゐよ〉答へて歌ひたまひしく」
お‐うと を‥【夫】
〘名〙 (「おひと(夫)」の変化した語) おっと。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※白氏文集天永四年点(1113)四「聟(ヲフト)塩商たること十五年」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典内の夫の言及
【婚姻】より
…婚姻とは,社会的に承認された夫と妻の結合であり,この〈夫〉と〈妻〉の資格,役割については,それぞれの社会において独自の意味づけがなされている。この意味づけはときとしてひじょうにかけ離れているので,上記の広い定義にもう少し具体性をもたせようとすると,その定義からはずれてしまう事例が出てくる。…
【離婚】より
…日本では,他のアジア諸国と同じように,宗教や公権力によって離婚が規制されることはなかったので,かなり古くから,離婚は自由にされていた。ただし,夫側からの離婚のみであって妻側には離婚の自由がなく,妻の離婚請求権を初めて認めた1873年5月15日太政官布告も,父兄弟の付添いを条件とし,夫妻双方の離婚請求権を認めた明治31年民法も不平等な離婚原因を残していた。夫婦平等の離婚制度が出現したのは,ようやく1948年施行の現行民法に至ってである。…
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出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報