シマリス(英語表記)Tamias sibiricus

改訂新版 世界大百科事典 「シマリス」の意味・わかりやすい解説

シマリス
Tamias sibiricus

齧歯(げつし)類目リス科の小哺乳類。赤茶色の地に5本の縦縞模様をもつ小型のリス。体長14cm,尾長11cm。中国,朝鮮半島シベリア南千島,北海道などに分布する。四肢と指が短く,穴を掘るのに適し,森林にすむが他のリスのように木にはあまり登らず,おもに地上で活動する。巣は地中に長さ1~2mのトンネルを掘ってつくり,その中にどんぐりクルミマツなどの実も蓄える。冬は冬眠し,ときどき起きて貯蔵した食物を食べる。ほかに昆虫,鳥の卵なども食べる。ほお袋を備えているため,一度にたくさんの量の食物をその中に入れて運搬できる。ペットショップなどで売られている愛玩用のシマリスは朝鮮産のもので,本州の観光地などで放されて野生化している。日本(北海道)産のものはそれよりも赤みが少なく,縞模様の黒みが強い。外観のよく似た近縁種がアジア中北部から北アメリカにかけて広く分布し,広義にはこれらを総称してシマリスと呼ぶ。
リス
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマリス」の意味・わかりやすい解説

シマリス
しまりす / 縞栗鼠
Asiatic chipmunk
[学] Tamias sibirica

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目リス科の動物。北海道、樺太(からふと)(サハリン)、シベリア、モンゴル、朝鮮半島、中国に分布する。ホンドリスよりも小形で、体長12~16センチメートル、尾長9~13センチメートル。体色は黄土色で、背側には5本の黒い縦縞(たてじま)が走る。平地から山地までの森林、低木林、岩地などに生息し、水辺近くを好む。木登りがうまいが、活動はおもに地表で行い、巣穴を地表に掘る。巣穴は普通、深さが50センチメートル以内、全長1~2メートル、ときに3メートルで、居住用の巣室と1、2室の貯蔵庫、および便所がある。昼間活動して、おもな食物であるマツなどの種子のほか、木の芽、キノコ、果実などを食べる。夏から秋の間に貯蔵庫に大量の種子を蓄える。種子の運搬には両頬(ほお)の頬袋を使う。10月~翌3月までは巣穴内で休眠するが、その間もときどき起きては貯蔵した食物を食べる。交尾期は4月で、5、6月に4~6子を産む。天敵はオコジョなどの食肉類と猛禽(もうきん)類である。毛皮はシベリアでは大量に取引される。日本では朝鮮半島産のものがペット用に多量に輸入されているが、逃亡して野生化するおそれがあり、問題が多い。

[今泉吉晴]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマリス」の意味・わかりやすい解説

シマリス
Tamias sibiricus; chipmunk

齧歯目リス科。体長 12~16cm,尾長9~13cm。ニホンリス (→リス ) よりも耳介,前後肢が短く,尾は扁平で,短い毛でおおわれる。頬から頸のあたりまで頬袋が広がり,背には5本の黒色の縞がある。森林にすむが,木登りはニホンリスよりも下手で,地上で生活することが多い。土中の穴に巣をつくり,冬眠する。シベリア,中国東北部,モンゴル,千島列島南部,北海道に分布するが,北海道のものは亜種エゾシマリス T. s. lineatusと呼ばれる。

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百科事典マイペディア 「シマリス」の意味・わかりやすい解説

シマリス

齧歯(げつし)目リス科の哺乳(ほにゅう)類。体長12〜15cm,尾11cmほど。体は赤褐色で背には黒い縞(しま)が5本。シベリア,朝鮮半島,南千島,北海道などに分布。あまり木には登らず,おもに地上で生活する。昼行性。穴掘りがうまく,地中に巣を作り,冬はそこで冬眠。マツの実,クルミ,どんぐり,キノコ,昆虫などを食べる。1腹4〜6子。なれやすく,愛がん用。

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世界大百科事典(旧版)内のシマリスの言及

【リス(栗鼠)】より

…寒い地方では冬眠する。日本にはこのグループに入る典型的な種は生息しないが,北海道のシマリス(エゾシマリス)Tamias sibiricus(イラスト)がこれにあたる。
[夜行性・樹上生リス]
 ムササビモモンガの仲間で,前肢と後肢の間に飛膜が発達し,飛膜を広げて木から木へ滑空する。…

【リス(栗鼠)】より

…寒い地方では冬眠する。日本にはこのグループに入る典型的な種は生息しないが,北海道のシマリス(エゾシマリス)Tamias sibiricus(イラスト)がこれにあたる。
[夜行性・樹上生リス]
 ムササビモモンガの仲間で,前肢と後肢の間に飛膜が発達し,飛膜を広げて木から木へ滑空する。…

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