シベリア気団(読み)シベリアきだん(英語表記)Siberian air mass

精選版 日本国語大辞典 「シベリア気団」の意味・読み・例文・類語

シベリア‐きだん【シベリア気団】

〘名〙 シベリアに発生する低温で乾燥した大陸気団日本天候を大きく支配し、特に冬には北西季節風と、時おり、顕著な寒波をもたらし、日本海側に豪雪を降らせたりする。〔天気予報論(1946)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「シベリア気団」の意味・読み・例文・類語

シベリア‐きだん【シベリア気団】

冬季シベリアに発生する寒冷で乾燥した気団シベリア高気圧を形成する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「シベリア気団」の意味・わかりやすい解説

シベリア気団 (シベリアきだん)
Siberian air mass

冬季は北極気団がコリマ盆地からヤクーツク地方,あるいはノバヤ・ゼムリャ島から中央シベリアに入る。そこで,モンゴル北部の大高気圧の形成と並行して,激しい放射冷却が続き,さらに適度な乱流交換で冷却が上方に伝わり,大気下層は著しく低温になり,北極気団は世界で最も冷たいシベリアの大陸性寒帯気団に変わる。この過程は2日ないし数日で終わり,気温の接地逆転層は高さ1~1.5kmにまで成長する。その上には上空の流れが沈降して比較的高温で,約3kmまで非常に安定な成層ができる。水蒸気も少量で地面近くでも1kg当り0.5gほどである。南側の崑崙山脈冷気南下を阻止して気団の形成と高気圧の発達を助成する。通常,冬のシベリア気団とはこのモンゴルに中心をもつ大高気圧圏内の空気の総称である。この気団が季節風として溢出すると高気圧は衰え,再び北極気団が南下して同じ経過を繰り返す。夏は大陸の北東部が低圧域になり,大陸性寒帯気団は本来のシベリア地方に限定されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シベリア気団」の意味・わかりやすい解説

シベリア気団
しべりあきだん

冬季にシベリアや中国東北区に発生する大陸性寒帯気団。厚さ2~3キロメートルで、その上方に強い逆転層をもち、非常に安定である。しかし、日本海や東シナ海に出ると、相対的に高温な水面から、熱と水蒸気が大量に供給されるので、急速に変質し不安定となり、積雲積乱雲が発生する。脊梁(せきりょう)山脈により強制的に上昇させられると一時に不安定を解消し、風上側にあたる日本海側の地方に多量の雨や雪を降らせ、風下側にあたる太平洋側の地方に乾いたよい天気をもたらす。これが、日本の冬に顕著な天気分布である。

饒村 曜]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シベリア気団」の意味・わかりやすい解説

シベリア気団
シベリアきだん
Siberian air mass

おもに冬季にシベリア高気圧圏内で発生する寒帯大陸寒気団。寒冷で乾燥し安定している。ある期間涵養されると四方へ流出する。冬の北西季節風として日本付近へ吹走してくるシベリア気団は,暖かい日本海上で多量の顕熱と水蒸気の供給を受け,下層から変質し,不安定となって積雲を発生させ日本海側の地域に多量の雪をもたらす。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「シベリア気団」の意味・わかりやすい解説

シベリア気団【シベリアきだん】

シベリア高気圧

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android