シアン化銀(読み)シアンかぎん(英語表記)silver cyanide

精選版 日本国語大辞典 「シアン化銀」の意味・読み・例文・類語

シアンか‐ぎん シアンクヮ‥【シアン化銀】

〘名〙 銀のシアン化物。化学式 AgCN 白色または灰色無臭結晶硝酸銀の冷飽和溶液にシアン化カリウムの濃溶液を加え、生じた沈殿を濃アンモニア水から再結晶して得られる。猛毒銀めっきに用いられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「シアン化銀」の意味・わかりやすい解説

シアン化銀 (シアンかぎん)
silver cyanide

化学式AgCN。硝酸銀AgNO3水溶液シアン化ナトリウムNaCNまたはシアン化カリウムKCNを等molにやや足りない程度加えると白色粉末状沈殿として得られる。乾燥空気中で安定であるが,光によって徐々に黒みを帯びる。加熱すると融解する前に320℃で分解する。比重3.95。結晶中では-Ag-C≡N-Ag-C≡N-のように結合した直線の多量体となっている。ハロゲン化アルキルを作用させると,おもにイソニトリルRNCを生ずるので,上記の構造においてAg-C結合のほうがAg-N結合より強いと推定される。水に対する溶解度2×10⁻6mol/l(25℃)。アルコールに不溶だがピリジンに溶ける。アルカリ金属のシアン化物水溶液には[Ag(OH)(CN)]2⁻,[Ag(CN)2]⁻,[Ag(CN)32⁻などの錯イオンを生成してよく溶ける。有毒物質。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアン化銀」の意味・わかりやすい解説

シアン化銀
しあんかぎん
silver cyanide

銀のシアン化物。硝酸銀の水溶液にシアン化カリウム水溶液を加え、生じた沈殿を水で洗って乾燥させると得られる白色の粉末。光によって徐々に変色して分解する。空気を断って熱すると分解し、320℃以上でシアンを発生する。エタノール(エチルアルコール)、希酸に不溶。熱濃硝酸には溶けて硝酸銀との複塩をつくる。濃アンモニア水、チオ硫酸ナトリウムには溶ける。シアン化アルカリにはシアノ錯塩をつくって溶ける。有毒である。

[中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シアン化銀」の意味・わかりやすい解説

シアン化銀
シアンかぎん
silver cyanide

化学式 AgCN 。無色の粉末。乾燥空気中で安定であるが,光に当ると暗色に変る。 320℃で分解。水,アルコール,希酸にほとんど不溶。シアン化アルカリ溶液や熱濃硝酸には錯塩をつくって溶ける。希塩酸によって有毒なシアン化水素と塩化銀に分解。銀メッキや,塩酸処理による簡便なシアン化水素発生剤として利用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android