キンポウゲ(読み)きんぽうげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンポウゲ」の意味・わかりやすい解説

キンポウゲ
きんぽうげ / 金鳳花
[学] Ranunculus japonicus Thunb.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草。茎は高さ30~60センチメートル、直立して上部で分枝し、開出毛が密生する。葉は3~5中裂する単葉で、円形であるためにウマノアシガタ(馬脚形)とよばれ、こちらが正式な和名である。キンポウゲはもともとは八重咲きの栽培品の呼び名である。花は黄金(こがね)色、直径約2センチメートルで、4~6月、まばらな総状花序につく。萼片(がくへん)は緑色花弁は5枚で強い光沢がある。これは、黄色のカロチノイド色素を含む細胞層の下に、デンプン粒を密に含んだ細胞層があって、太陽光を反射するためである。果実は痩果(そうか)で、花柱の先は曲がらない。日本全土の山地や丘陵に普通に生える。有毒植物であるが、薬用ともする。キンポウゲ属は世界に約550種あり、日本には27種が自生し、水生で花が白色のバイカモ類と、陸生で花が黄色のキンポウゲ類の2群がある。

[門田裕一 2020年3月18日]


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百科事典マイペディア 「キンポウゲ」の意味・わかりやすい解説

キンポウゲ

ウマノアシガタとも。日本全土の日当りのよい草地にはえるキンポウゲ科の多年草。葉は5角状円心形で,長さ3〜7cm,深く三つに裂け,あらい鋸歯(きょし)がある。花は春,長い小柄上に上向きに咲き,黄色5弁で径15〜20mm,花弁の表面には光沢がある。のち金平糖状の集合果を結ぶ。葉の形からこの名が出た。栽培品に八重咲のものがあり,キンポウゲ(金鳳花)の名は本来はこれを指すともいう。ミヤマキンポウゲ高山お花畑にしばしば群生し,茎は斜上,葉の切れ込みが深く,毛は少ない。キンポウゲ属の植物はプロトアネモニンを含んでみな多少とも有毒である。

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世界大百科事典 第2版 「キンポウゲ」の意味・わかりやすい解説

キンポウゲ【Ranunculus japonicus Thunb.】

山野にふつうにみられるキンポウゲ科の多年草(イラスト)。一重のものをウマノアシガタ,八重のものをキンポウゲと分けてよぶべきであるという意見もあるが,一般に混用されている。越冬する根生葉は叢生(そうせい)し,葉身は掌状に5~7裂し,基部は心形,葉柄の基部は鞘(さや)状に広がる。春から初夏に高さ30~70cmの直立,分枝する茎を生じ,直径1.5~2cmの黄色の花をつける。茎には開出する毛がある。萼片は緑色で5枚。

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世界大百科事典内のキンポウゲの言及

【ラナンキュラス】より

…キンポウゲ科の塊根を有する多年草で,ハナキンポウゲとも呼ぶ(イラスト)。ヨーロッパ南東部から西南アジア原産の多年草で,葉柄のある3裂する根出葉を出し,各小葉はさらに浅裂あるいは深裂する。…

※「キンポウゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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