ラナンキュラス(英語表記)garden ranunculus
Persian buttercup
Ranunculus asiatius L.

精選版 日本国語大辞典 「ラナンキュラス」の意味・読み・例文・類語

ラナンキュラス

〘名〙 (ranunculus)
② キンポウゲ科の多年草中近東、地中海沿岸原産で、観賞用に栽培される。高さ三〇~五〇センチメートル。根出葉は柄があって三浅裂し、裂片はさらに三深裂し、縁には鋸歯(きょし)がある。春、茎頂に径三センチメートルぐらいの五弁花を一~四個つける。花は黄・白・赤・紫色などで絞りや八重咲きのものもある。和名ハナキンポウゲ。はなきつねのぼたん

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デジタル大辞泉 「ラナンキュラス」の意味・読み・例文・類語

ラナンキュラス(〈ラテン〉Ranunculus)

キンポウゲ科の多年草。球根から、三つに裂けている葉を出し、春に白・桃・紅・橙赤・黄色などの花が咲く。品種多く、五弁のものから数十弁のものまであり、観賞用。中近東・地中海沿岸の原産で、ハナキンポウゲともよぶ。広くは同科キンポウゲ属の植物総称する。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラナンキュラス」の意味・わかりやすい解説

ラナンキュラス
garden ranunculus
Persian buttercup
Ranunculus asiatius L.

キンポウゲ科の塊根を有する多年草で,ハナキンポウゲとも呼ぶ。ヨーロッパ南東部から西南アジア原産の多年草で,葉柄のある3裂する根出葉を出し,各小葉はさらに浅裂あるいは深裂する。春,高さ30~40cmの中空の花茎を数本伸ばし,1~数花をつける。花は5弁の一重咲きから重弁化したものまでさまざまで,花色も多彩である。16世紀末に一重咲きの系統がイギリスに導入された。やがて品種改良が進み八重咲きが生まれ,また最近はオランダ,アメリカ,日本などで改良が加えられ,ほとんど種子が実らない万重咲きで直径10cm以上の巨花や,50cm以上の高性種や鉢植え向きの矮性(わいせい)種などが作出されている。花色も赤,桃,橙,黄,白,深紅褐色やその中間色あるいは2色に咲き分けるものなど,美しい花を咲かせる品種が育成されている。北海道などの寒冷地以外は一般に秋植え球根として,切花,花壇,鉢植えに用いられている。栽培はふつうダリアの塊根を小さくしたような房状の塊根を水に数時間つけて,10月上旬に植え込む。酸性土を嫌うので,土地には石灰を施し,肥料は油かすなどを多い目に与える。極寒期は少し横に敷きわらなどをする。花の終わった6月,葉が黄変したころに掘り上げ,株を水洗いし,古茎を切り捨て網袋などに入れて通気のよい所で陰干しして越夏する。

 キンポウゲRanunculus(英名buttercup,crowfoot)は北半球の温帯を中心に600種ほどがあり,南半球の熱帯高地にも少数種が分布している。多くは鮮黄色の美しい花をつけ,ハナキンポウゲ以外にも数種が園芸的に栽植されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラナンキュラス」の意味・わかりやすい解説

ラナンキュラス
らなんきゅらす
[学] Ranunculus

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)キンポウゲ属の総称。一年草または多年草。北半球の寒冷地から温帯、熱帯の山岳地に約550種が分布する。日本にはウマノアシガタ(キンポウゲ)やミヤマキンポウゲなど27種が野生する。園芸界でラナンキュラスの名で市販されるのは、本属のうちヨーロッパから西南アジア原産のハナキンポウゲR. asiaticus L.から改良された系統のものをさす。露地では4月下旬から5月上旬に開花し、赤、桃、橙(だいだい)、黄、白など多彩である。普通は一重の5弁であるが、数十弁の大輪花も多い。花茎は高さ30~50センチメートル。切り花、鉢植え、花壇に利用される。酸性土を嫌い、また冬季に凍害を受けやすいので注意する。

[植村猶行 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラナンキュラス」の意味・わかりやすい解説

ラナンキュラス
Ranunculus asiatica; Persian buttercup

キンポウゲ科の多年草で,南東ヨーロッパから南西アジアにかけての原産といわれる。ハナキンポウゲまたはハナキツネノボタンと呼ばれる。観賞用として普通に栽培され,根は塊茎状で,茎は高さ 20~30cm,花は長い柄の先に1~4輪つき,径3~4cmある。花色は原種では光沢のある黄色であるが,赤,白,ピンク,オレンジなどの園芸品種があり,八重咲きが普通である。アネモネに似ているが,花が平開せず半球形に開く。中央に多数のおしべがあり,葯 (やく) も黄色,褐色などさまざまである。花期は通常5~6月である。

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百科事典マイペディア 「ラナンキュラス」の意味・わかりやすい解説

ラナンキュラス

ハナキンポウゲとも。南欧〜西アジア原産のキンポウゲ科の球根植物。茎は高さ15〜40cm,葉は2〜3回3出複葉となり,小葉は鋸歯(きょし)をもつか3裂する。花は1茎に1〜4個つき,径3cm内外,花弁は5枚で,花色は赤,桃,だいだい,黄,白など変化がある。ただし,園芸的に栽培されるのは改良された八重咲大輪品種が多い。9月に植えつけ,4〜5月開花。冬は霜よけを要する。切花にして観賞。

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