アンドンクラゲ(英語表記)Charybdea rastonii

改訂新版 世界大百科事典 「アンドンクラゲ」の意味・わかりやすい解説

アンドンクラゲ
Charybdea rastonii

ハチクラゲ綱アンドンクラゲ科の腔腸動物本州イラ,北海道でタコテレレンと呼ばれる。熱帯太平洋から北上し,8~9月に日本各地に出現する。かさは高さ3~3.5cm,幅2.5~3cmの立方形で,寒天質は薄く,表面に多くの刺細胞がある。4本の淡紅色触手があり,6cm以上にものびる。触手の基部は葉状体になっている。かさの縁よりやや上方によく発達している2個の大きな中央眼と小さな2対の側眼とがある。日中は強い日光を避けて深く潜っており,曇り日や夕方から朝方までに表面近くを遊泳するが,夜間にカンテラくらいの光度にも眼に光を感じて集まってくる。触手の刺胞毒は強く,刺されると赤くはれ,海水浴の人たちに害を与える。
クラゲ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンドンクラゲ」の意味・わかりやすい解説

アンドンクラゲ
あんどんくらげ / 行灯水母
[学] Charybdea rastonii

腔腸(こうちょう)動物門ハチクラゲ綱立方(りっぽう)クラゲ目アンドンクラゲ科に属するクラゲ。傘はほぼ立方形で行灯形。傘高3~3.5センチメートル、幅2.5~3センチメートルほどで、淡紅色の4本の触手があり、その基部は寒天質の葉状の足を形成する。この種は一般に熱帯性であるが、日本でも北海道西岸から沖縄付近まで、各地の沿岸夏季にみられる。刺胞毒(しほうどく)は相当強く、これに触れるとかなり痛む。夜間、漁師灯火を使ってエビなどを捕獲するときに、このクラゲも灯火に集まってくるので、エビ漁の妨げになることがあるという。北海道の小樽(おたる)ではタコテレレン、本州各地ではイラとよばれることがある。

[山田真弓]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンドンクラゲ」の意味・わかりやすい解説

アンドンクラゲ
Charybdea rastoni

刺胞動物門箱虫綱立方クラゲ目アンドンクラゲ科。傘は立方形で,高さ,幅とも 3cm内外。触手は 4本,通常 15cmほどで,伸ばすと 30cm以上になる。刺胞毒(→刺胞)がきわめて強い。各地の海水浴場でクラゲに刺される被害は本種によるものである。感電したような痛みがあることからデンキクラゲとも呼ばれる。傘がほとんど透明であるために水中では気づきにくい。熱帯太平洋から北上し,夏には北海道西南部まで分布する。(→刺胞動物無脊椎動物

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百科事典マイペディア 「アンドンクラゲ」の意味・わかりやすい解説

アンドンクラゲ

イラ,タコテレレンとも。腔腸(こうちょう)動物ハチクラゲ類アンドンクラゲ科。傘(かさ)は立方形で無色,高さ3〜3.5cm。寒天質は薄いが堅い。4本の触手は傘の倍くらいの長さで淡紅色。触手の刺胞には強い毒があって刺されると痛く,赤くはれる。熱帯太平洋から北上し,8〜9月に日本各地および台湾沿岸に現れる。

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