葉状体
ようじょうたい
維管束をもつ植物体は、マツバランのようなわずかな例外を除いて茎・葉・根の器官が明瞭(めいりょう)に分化していて、これらを茎葉体というのに対して、維管束をもたない植物体は、多細胞であっても組織分化が少なく、器官分化はないか、またはあっても不明瞭であるため、これらを葉状体という。ただし、蘚類(せんるい)や車軸藻類などは、維管束がないにもかかわらず明瞭な器官分化を示すので、これらは葉状体と茎葉体との中間的なものとも考えられる。
[福田泰二]
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ようじょう‐たい エフジャウ‥【葉状体】
〘名〙 多細胞からなるが、茎葉や維管束の未分化の
体制をいう。茎葉体に対する語。〔原子と
椎茸と(1954)〕
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デジタル大辞泉
「葉状体」の意味・読み・例文・類語
ようじょう‐たい〔エフジヤウ‐〕【葉状体】
植物の体制で、茎と葉の区別がなく全体が平らな葉状のもの。→茎葉体
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ようじょうたい【葉状体 thallus】
植物体の体制を二大別した場合,茎と葉がはっきりしている茎葉体に対して,多細胞体でありながら茎葉の区別のないものを葉状体という。葉状体をもった植物を一括して葉状植物Thallophytaということもある。しかし,これは外見からみた感覚的な表現で厳密に定義されたものではない。維管束植物はすべて茎葉体であり,コケ植物のうち,苔(たい)類は葉状体,蘚(せん)類は茎葉体をもつ。S.L.エントリッヒャーの分類によれば,藻類と菌類が茎葉植物に対して葉状植物と総称される。
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世界大百科事典内の葉状体の言及
【葉】より
…コケ植物や藻類でも,植物体のうち平面的な構造を葉ということがあるが,維管束植物の葉と相同の器官ではない。コケや藻類の植物体を葉状体ともいうが,コケなどの葉は,形態学的に厳密にいえば葉的器官というべきものである。
[形状]
葉にはさまざまの形のものがある。…
※「葉状体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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