アンジェイェフスキ(英語表記)Jerzy Andrzejewski

改訂新版 世界大百科事典 「アンジェイェフスキ」の意味・わかりやすい解説

アンジェイェフスキ
Jerzy Andrzejewski
生没年:1909-83

ポーランド小説家ワルシャワに生まれ,1930年代にデビュー。教会の道徳的価値を問うた《心の秩序》(1938)で脚光を浴びる。戦争と抵抗運動の経験を踏まえて,1945年に発表された《夜》は戦後社会主義の模範的リアリズム小説集とみなされ,《灰とダイヤモンド》(1948)は終戦当時のパルチザン活動と主人公の青年の悲劇的な死を描き,ワイダ監督の映画によっても有名。しかし短編《金いろの狐》(1954)を残したあと,雪解けの時代の作品である《闇は大地をおおう》(1957)や《天国の門》(1960)では中世異端審問や少年十字軍などの歴史的題材にとりくみ,グロテスクの手法や大胆な文体上の実験を試み,同時にスターリン主義との対決を強めた。現代ポーランド社会の矛盾と不和を赤裸々にあばいた《アピール》(1968,パリ刊)や《どろどろ》(1982)は当局検閲を受けて長らく公刊を控えられていた問題作である。
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百科事典マイペディア 「アンジェイェフスキ」の意味・わかりやすい解説

アンジェイェフスキ

ポーランドの小説家。ワルシャワ生れ。戦争体験と屈折した青春像を描き,のちにワイダ監督によって映画化された《灰とダイヤモンド》(1948年)をはじめ,中世に題材を求めた作品や現代ポーランド社会の矛盾を暴いた作品を残す。

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