ても(読み)テモ

デジタル大辞泉 「ても」の意味・読み・例文・類語

ても[接助]

[接助]接続助詞「て」+係助詞「も」から》動詞・形容詞と一部の助動詞の連用形に付く。ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞に付く場合は「でも」となる。
未成立の事柄仮定条件として述べ、その条件から考えられる順当な結果と対立する内容の文へ結びつける意を表す。たとえ…したとしても。「失敗してもあきらめはしない」「煮ても焼いても食えない」
既定的な事柄を述べ、その条件から考えられる順当な結果と対立する内容の文へ結びつける意を表す。…たにもかかわらず。「知っていても知らぬ顔をする」
(多く「にしても」「としても」の形で)ある事柄を仮定条件として認めて、下の文の叙述を起こす意を表す。「自信があるにしても試験を受けるのはいやな気分だ」
[補説]接続助詞としての「ても」は中世以降用いられ、近世になると、逆接の確定条件を表す助詞「ては」に対応して、仮定条件を表現する「ても」が話し言葉領域で多く用いられるようになり、それが現代語へと引き継がれた。「ても」はこのほか、「なんとしても」「どうしても」「とても」など、多くの慣用語をつくった。

て‐も[感]

[感]《「さても」の音変化》驚きあきれたときなどに発する語。さてもまあ。なんとまあ。
「是れも新参の小僧弥吉、―恐ろしき酒飲みかかかな」〈露伴・いさなとり〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ても」の意味・読み・例文・類語

て‐も

(ガ、ナ、バ、マ行の五段活用動詞につく場合は「でも」となる)
[1] (接続助詞「て」に係助詞「も」が付いたもの) 「も」の意味の違いによって「ても」にも微妙な違いがある。…してさえも。たとえ…してでも。たとえ…しようとも。
※竹取(9C末‐10C初)「命をすててもをのが君の仰言をば叶へんとこそ思ふべけれ」
源氏(1001‐14頃)桐壺鈴虫の声の限りを尽しても長き夜あかずふる涙かな」
[2] 〘接助〙 ((一)の逆接的な意をもつ用法が次第に熟して一語化したもの。活用語の連用形に付く)
① 逆接の仮定条件を示す。たとえ…しようとも。→語誌。
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「われらいみじき勢になりてもわが君をさる者の中にはふらし奉りては何心地かせまし」
浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上「もはや此二人は、生ても死んでも廃った身」
② 逆接の確定条件を示す。…たけれども。…たのに。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「輦車(てぐるま)宣旨などのたまはせても、又入らせ給ひて更にえ許させ給はず」
[語誌](1)(二)の接続助詞の用法は、中世、特に室町時代以降に発達するようになったが、平安時代から成立していたとする見方もある。もともと接続助詞「て」自体が幅広い意味を持ち、それに「も」による強意的・逆接的なニュアンスが添加されるため、(二)①の挙例「源氏‐玉鬘」などは、(一)の例とすべきか(二)の例とすべきか、判定は難しい。
(2)逆接の仮定表現としては、「終止形+とも」が文語化し、助動詞「う」に接続した「うとも」の用法に限られるようになったため、それに代わる口語的な表現として多用されるようになった。
(3)「…ても…ても」と繰り返す用法から、「明けても暮れても」のように慣用的な表現が派生している。

て‐も

〘感動〙 (「さても」の変化したもの) あきれたり、いまさらのように感じ入ったりして発することば。それにしても。さてもまあ。
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六「『すれば、あなたがお小姓でござりますか』『ても、きゃうとい顔をする奴じゃ』『ても、よふ似たるはいな』」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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