うつらうつら(読み)ウツラウツラ

デジタル大辞泉 「うつらうつら」の意味・読み・例文・類語

うつら‐うつら

[副](スル)
《「うつ(空)」に接尾語「ら」の付いた「うつら」を重ねた語》
疲労などのために浅い眠りにひきこまれるさま。「熱が高くて一日じゅう―としていた」「退屈な話を聞かされてついうつらうつらする」
㋑心がぼんやりしているさま。茫然ぼうぜん
「朝な夕なに梧桐ごとうを眺めくらして、―として居た」〈漱石野分
《「うつ(現)し」などの「うつ」に接尾語「ら」の付いた「うつら」を重ねた語》目の前にはっきりと見えるさま。まざまざ。
「なでしこが花とり持ちて―見まくのほしき君にもあるかも」〈・四四四九〉
[類語]ぐうぐうぐっすり昏昏ぐうすかすうすうすやすやうとうとこっくりこっくりうつうつこくりこっくりとろとろとろんとろり夢うつつ夢心地

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精選版 日本国語大辞典 「うつらうつら」の意味・読み・例文・類語

うつら‐うつら

〘副〙 (「うつら(空━)」を重ねたもの。「と」を伴う場合もある)
① 心がぼんやりしているさまを表わす語。茫然(ぼうぜん)。うっかり。
御伽草子・さよひめ(室町時代物語集所収)(室町末)「うつらうつらとははごのもとをたちいでて」
※野分(1907)〈夏目漱石〉八「梧桐を眺めくらして、うつらうつらとして居た」
② ねむけ、病気などで意識がはっきりしないさまを表わす語。うとうと。
俳諧・正章千句(1648)一「雨に窓かぜに障子を引たてて うつらうつらと物おもふさま」
婦系図(1907)〈泉鏡花〉後「寝台に、うつらうつらして居た早瀬は」
③ (②から転じて) ゆっくりとゆれ動くものから受ける感じをいう。
※永日小品(1909)〈夏目漱石〉蛇「長い藻が、うつらうつらと揺(うご)いて」

うつら‐うつら

〘副〙 (「うつら(現━)」を重ねたもの。「に」や「と」を伴う場合もある) まのあたりはっきりと。まざまざと。つくづくと。
万葉(8C後)二〇・四四四九「なでしこが花とり持ちて宇都良宇都良(ウツラウツラ)見まくの欲しき君にもあるかも」

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