鬼一口(読み)オニヒトクチ

デジタル大辞泉 「鬼一口」の意味・読み・例文・類語

おに‐ひとくち【鬼一口】

《鬼が一口に女を食ってしまったという伊勢物語説話から》
非常に危険なこと。尋常でない苦難
「(死ニ対シテ)つい気を許して…高慢にふるまおうとする。と―だ」〈有島生れ出づる悩み
すばやく、たやすいこと。
「―にかんでやる」〈浄・栬狩剣本地

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鬼一口」の意味・読み・例文・類語

おに‐ひとくち【鬼一口】

〘名〙
① 「伊勢物語」第六段の、雷雨の激しい夜、女を連れて逃げる途中で、女が鬼に一口で食われてしまったという説話。転じて、はなはだしい危難に会うこと。また、その危難。鰐(わに)の口。虎口(ここう)
謡曲・通小町(1384頃)「さて雨の夜は目に見えぬ、鬼ひと口も恐ろしや」
② 鬼が人を一口で飲み込むように、激しい勢いであること。物事をてっとり早く、極めて容易に処理してしまうこと。
浄瑠璃・栬狩剣本地(1714)五「惟茂殺すは己(おのれ)を頼まず、鬼一口にかんでやる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android