駅路(読み)ウマヤジ

デジタル大辞泉 「駅路」の意味・読み・例文・類語

うまや‐じ〔‐ぢ〕【駅路】

宿駅のある街道。えきろ。はゆまじ。
「香島に向かふくがの―なり」〈常陸風土記
宿場。〈日葡

えき‐ろ【駅路】

宿駅から宿駅へ通じる道。うまやじ。
歌舞伎で、宿場・街道の場面で用いる囃子はやし

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精選版 日本国語大辞典 「駅路」の意味・読み・例文・類語

えき‐ろ【駅路】

〘名〙
① 駅から駅へ通じる道。宿駅のある道路。うまやじ。
続日本紀‐天平神護二年(766)五月丁丑「藤野郡者。地是薄塉。人尤貧寒。差科公役。触途忩劇。承山陽之駅路。使命不絶」
太平記(14C後)三九「駅路(エキロ)に駅屋の長もなく」 〔王維‐送李太守赴上洛詩〕
② 歌舞伎で、街道など交通関係の場面に使う、駄馬の鈴の音に擬した囃子(はやし)。転じて、この囃子に用いる小道具の称。
※歌舞伎・独道中五十三駅(1827)二幕「ドロドロ打上げる。かすめて駅路(エキロ)、馬士唄(まごうた)になり」

うまや‐じ ‥ぢ【駅路】

〘名〙
① 宿駅の設けられている街道。えきろ。駅道(えきどう)
古今六帖(976‐987頃)三「むまやぢに曳き舟渡しただ乗りに妹が心に乗りてくるかも」
② 宿場。〔日葡辞書(1603‐04)〕

はゆま‐じ ‥ぢ【駅路】

〘名〙 奈良時代、駅(うまや)設備のある幹線道路。うまやじ。
万葉(8C後)一一・二七四九「駅路(はゆまぢ)引舟渡し直乗に妹は心に乗りにけるかも」

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普及版 字通 「駅路」の読み・字形・画数・意味

【駅路】えきろ

宿場に通ずる路。唐・杜鶴〔秋、臨江駅に宿す〕詩 漁舟火影くして浦に歸り 驛路の鈴聲、夜、山を

字通「駅」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「駅路」の意味・わかりやすい解説

駅路
えきろ

歌舞伎の囃子楽器の一つ。金属製の体鳴楽器。ドーナツ状の鉄鈴を3個ほど金属製の半円輪に通し,輪の両側木製の柄に固定したもので,その柄を持って振り,鉄鈴同士を触れ合せて音を出す。複鈴の一種。かつて街道の宿駅において,信号として用いられた大型の方形の「すず」である「駅鈴 (えきれい) 」を模した擬音を出すもので,街道場面の下座楽器として用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の駅路の言及

【駅伝制】より

…大化改新後,7世紀後半の律令国家形成期には,駅鈴によって駅馬を利用しうる道を北九州との間だけでなく東国へも延ばしはじめたようであるが,8世紀初頭の大宝令では唐を模範とした駅制を全国に拡大することとした。すなわち朝廷は特別会計の駅起稲(えききとう)・駅起田(えききでん)(後の養老令では駅稲・駅田)を各国に設置させ,これを財源として畿内の都から放射状に各国の国府を連絡する東海・東山・北陸・山陰・山陽・南海・西海の7道をそのまま駅路とし,駅路には原則として30里(約16km)ごとに駅を置かせ,駅ごとに常備すべき駅馬は大路の山陽道で20匹,中路の東海・東山両道で10匹,他の4道の小路では5匹ずつとし,駅の周囲には駅長や駅丁を出す駅戸を指定して駅馬を飼わせ,駅家(うまや)には人馬の食料や休憩・宿泊の施設を整え,駅鈴を貸与されて出張する官人や公文書を伝送する駅使が駅家に到着すれば,乗りつぎの駅馬や案内の駅子を提供させることとした。その結果,もっとも速い飛駅(ひえき∥ひやく)という駅使は,大宰府から4~5日,蝦夷に備えた陸奥の多賀城からでも7~8日で都に到着することができた。…

※「駅路」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」