飲口・呑口(読み)のみくち

精選版 日本国語大辞典 「飲口・呑口」の意味・読み・例文・類語

のみ‐くち【飲口・呑口】

〘名〙 (「のみぐち」とも)
① 飲んで感じる風味。酒などを飲んだときの舌ざわり。
狂歌・狂歌ますかがみ(1736)「呑くちかいや読口のきみがよきを給たるごしゅの味ひてしる」
② 酒を好む人。のみて。のみすけ。上戸。
※集成本狂言・岩太郎(室町末‐近世初)「『身共は朝でも晩でも、是さへ見れば機嫌におりやる』『呑み口は其の通りで御座る』」
③ 酒を飲む機会。酒を飲むといった方面のこと。
※洒落本・通人三国師(1781)発端「『けふはみんなどこへいきなさへした』『のみ口さ』」
猪口(ちょく)や湯飲み、びんなどの口をつけて飲む縁の部分。
※滑稽本・八笑人(1820‐49)四「ちり紙の折たるを出し、ちょくののみ口(グチ)をていねいにふき」
⑤ 酒などを飲むくちつき。のみっぷり。
※歌舞伎・雷神不動北山桜(1742)四「よいのみ口じゃナア、サアサアおさへたおさへた」
⑥ (呑口) 樽の下方に孔をあけ、中の酒・醤油(しょうゆ)などをつぎ出すためにはめこむ木や竹の管。また、それに差し込む木の栓。湯を流し出すために、湯槽(ゆぶね)の底につけた孔やその栓もいう。のみ。
咄本・当世軽口咄揃(1679)一「少ぬけたるおとこ、樽をあけるとてのみ口の出かねければ」
キセルや吸い飲みなどの吸い口
随筆・嬉遊笑覧(1830)一〇上「〔顰草〕(寛永廿一年の撰)一人は手もとにありしきせるの真中をつ取り〈略〉火ざらの中までまはしもてゆき又のみ口(今いふ吸口)際までまはしもどし」

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