キセル

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キセル」の意味・わかりやすい解説

キセル

煙管とも書く。刻みたばこを吸う喫煙具。カンボジア語の「管」を意味する Khsierに由来。管頭を雁首 (がんくび) といい,先端にたばこを詰める火皿を置く。管尾は細く,煙を吸込む吸い口がある。雁首と吸い口は金,銀,銅,赤銅真鍮などの金属でつくる。雁首と吸い口をつなぐタケラオ (羅宇) という。これは最初ラオス産のタケを用いたところからこの名がある。一般には国内産のヤダケなどを用いるが,なかには堆朱蒔絵を施した華麗なものもある。またラオを用いずすべて金属製のものもあるが,これは伸 (のべ) という。日本で初めてキセルをつくり商いとしたのは『人倫訓蒙図彙』によると,京都二条通り富小路の桜屋であるという。近年は巻たばこの普及から刻みたばこの需要は減り,キセルも姿を消しつつある。また,中央がタケで両端が金 (かね) であることから,鉄道の乗車区間の乗り,降りの部分だけの乗車券を買い,中間部分の運賃を支払わないことを「キセル」という。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android