須曽蝦夷穴古墳(読み)すそえぞあなこふん

国指定史跡ガイド 「須曽蝦夷穴古墳」の解説

すそえぞあなこふん【須曽蝦夷穴古墳】


石川県七尾市能登島須曽町にある古墳。能登半島中央東部の七尾湾に浮かぶ能登島に所在し、須曽集落背後の標高約80mの丘陵に立地する。1辺約25m、高さ4.5mの方形墳で、南方羨門(せんもん)を開く2基一対の横穴式石室(雄穴・雌穴)がある。石室の構築法に特色があり、天井部がドーム状になっており、平面形も雄穴はT字型、雌穴は逆L字型という通常見られない形を示している。7世紀中葉前後の築造と推定され、北陸地方や中部地方にはまったく見当たらない構造の古墳で、朝鮮半島の墓制との関連性が認められることなどから、1981年(昭和56)に国の史跡に指定された。雄穴羨道部から鉄鏃(てつぞく)・刀子・須恵器(すえき)・土師器(はじき)、雌穴羨道部から直刀・鉄鏃・須恵器が出土している。JR七尾線和倉温泉駅から車で約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「須曽蝦夷穴古墳」の意味・わかりやすい解説

須曽蝦夷穴古墳
すそえぞあなこふん

石川県七尾市の能登島地区にある古墳。一つの墳丘に石室が二つあり,いずれも奥行が短く,幅が長い変則的な横穴式石室であり,板石をいわゆる煉瓦積みのようにし,天井は持送り式の手法で造ってある。その様式は朝鮮半島の高句麗の古墳に似ているといわれる珍しい古墳である。時期は7世紀半ば頃と思われる。出土した鉄斧は,大陸からの請来品である可能性が高い。

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