霧ヶ峰
きりがみね
長野県中央部、諏訪(すわ)湖北東方にある高原。八ヶ岳(やつがたけ)中信高原国定公園の一中心地で、最高峰車山(くるまやま)(1925メートル)を中心に、標高1600~1800メートルの一大草原が波浪状に展開している。この草原は地元市町村の放牧地であった。起伏の間の低地には八島ヶ池(やしまがいけ)、鎌ヶ池(かまがいけ)などもあり高層湿原地帯として有名。高原一帯には数百種もの草木があるといわれるが、とくにニッコウキスゲの大群落は高原の名物。7月中~下旬の見ごろは壮観である。また、湿原に湿原植物群落があり、なかでも八島ヶ原湿原は日本の典型的高層湿原といわれ、ミズゴケ類が多く泥炭層が厚く堆積(たいせき)し、国指定天然記念物になっている。この近くには鎌倉時代、関東・信濃(しなの)の武士たちが狩猟を競い、互いに武技を競い合った場所である旧御射山遺跡(もとみさやまいせき)もある。強清水(こわしみず)近くの丘陵上には1933年(昭和8)日本初のグライダー格納庫が建設され、今日までとぎれることなくグライダー飛行が続けられている。車山の後ろ斜面は夏はパラグライダー訓練地、冬はスキー場になる。また、高原の北端和田峠付近は、石器時代の石鏃(せきぞく)の材料になった黒曜石が出る。長野県の代表的山岳観光道路ビーナスラインが高原上を走っている。上諏訪駅からバスが通じ、車山―沢渡(さわたり)―旧御射山―八島ヶ原湿原―鷲ヶ峰(わしがみね)―和田峠のハイキングコースがある。
[小林寛義]
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デジタル大辞泉
「霧ヶ峰」の意味・読み・例文・類語
きり‐が‐みね【霧ヶ峰】
長野県中部、諏訪湖の北東にある高原。車山の標高1925メートルを最高にゆるやかな起伏の草原が広がる。高層湿原がみられ、冬はスキー場。
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きりがみね【霧ヶ峰】
長野県中央部,諏訪湖の北にある車山(1925m)を主峰とする楯状火山および西部から北西部一帯にひろがる高原をさしていう。標高1500m内外の広大な高原は明治以降毎年火入れをして地元住民の牧場として利用されてきたが,昭和初期にグライダー練習場,スキー場として開発され,第2次大戦後観光地化が進んだ。富士山,八ヶ岳,木曾山脈,飛驒山脈,赤石山脈などの眺望がよく,ニッコウキスゲなど植物が豊富である。また高原の北部には,七島八島(ななしまやしま)と呼ばれる標高1665mの高層湿原があり,天然記念物に指定されている。
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霧ヶ峰
きりがみね
諏訪盆地の東北、諏訪・小県・北佐久の郡界にあたり、諏訪市と下諏訪町地籍にわたっている。東部にある車山(一九二五メートル)を主峰に、東北は八子ヶ峰及び大門峠、北西は和田峠及び鷲ヶ峰、南は北大塩峠に及ぶ広大な地域で、標高一六〇〇―一八〇〇メートルの緩やかな高原である。
霧ヶ峰火山塊または霧ヶ峰高原ともよばれ、低部の八島ヶ原湿原(八島池と鎌ヶ池付近)・踊場湿原・車山湿原には高山性の湿原植物群落があり、国の天然記念物保護地帯に指定され、霧ヶ峰一帯の大草原には数百種類もの草本植物が大群落を形成している。
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