長倉牧(読み)ながくらのまき

日本歴史地名大系 「長倉牧」の解説

長倉牧
ながくらのまき

古代の官牧、信濃国一六勅旨牧の一つで、沓掛くつかけ(現中軽井沢)発地ほつち付近を中心にしたかなり広大な牧場であった。記録の上では、信濃諸牧からの貢馬に関して、弘仁一四年(八二三)(延喜式)・承平七年(九三七)(政事要略)・天慶八年(九四五)(本朝世紀)等に長倉牧の名がみえ、下限は不明としても、元徳元年(一三二九)の大宮御造栄之目録(諏訪大社上社文書)に「玉垣二間 長倉牧」とみえている。

現信越線中軽井沢駅の北方約四〇〇メートル、東ははなれ山付近から、西は借宿かりやど追分おいわけ付近に達する東西に、ほぼ一直線の断続する「駒飼の土堤こまがいのどて」が残り、その南方四キロの発地地籍でも同様の遺構が確認されて、前者は浅間山南麓放牧場の南を画し、後者八風はつぷう山放牧場の北域を示すものと考えられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報