金鶏学院(読み)きんけいがくいん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金鶏学院」の意味・わかりやすい解説

金鶏学院
きんけいがくいん

1927年(昭和2)安岡正篤(まさひろ)が伯爵酒井忠正(ただまさ)の援助を得て設立した国家主義的教化団体。陽明(ようめい)学をはじめ日本国体研究などを講じたが、院生のほか多くの軍人官僚財界人聴講機関誌『金鶏学報』やパンフレットを発行し、会員数も最盛時には1万2000~3000名にも達したという。32年安岡の支持者たちで創設されたのが新官僚結合体といわれる国維会(こくいかい)である。翌33年には学院の指導により日本主義労働組合である日本産業労働倶楽部(クラブ)が結成された。

[安部博純]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「金鶏学院」の意味・わかりやすい解説

金鶏学院【きんけいがくいん】

安岡正篤(まさひろ)主宰国家主義的研究会。陽明学信奉者たる安岡が行地社脱退後の1927年酒井忠正邸内の金鶏園に創設した塾。1932年公開され官僚,軍人,財界人,華族などが聴講。五・一五事件関係者参加

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金鶏学院」の意味・わかりやすい解説

金鶏学院
きんけいがくいん

実践儒教の復活を目指す陽明学を信奉した安岡正篤が,1926年,いわゆる新官僚や財界人の援助を受けて,酒井忠正伯爵の邸内の金鶏園に創設した私学校。日本型ファシズム運動が隆盛になってきた昭和期に公開 (1932) され,多数の軍人,官吏,財界人が聴講し,いわゆるウルトラ・ナショナリズムの宣揚に努めた。機関誌として『東洋思想研究』 (月刊) を発行した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の金鶏学院の言及

【安岡正篤】より

…1921年ころから参加していた社会教育研究所,その後身の大学寮で当時のデモクラシー思潮に対抗して日本主義を主張する講義を行う。25年行地社を脱退し,青少年の精神教化運動を志して,酒井忠正らの援助により金鶏学院を創立(1927)。32年日本精神による政教の維新を唱えて国維会を結成,新官僚の本山と目された。…

※「金鶏学院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android