金主(読み)キンシュ

デジタル大辞泉 「金主」の意味・読み・例文・類語

きん‐しゅ【金主】

事業などの資金を出す人。
芝居などの興行主に資金を提供する人。
金銭を多く持っている人。かねもち。
江戸時代大名に金を貸す町人

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精選版 日本国語大辞典 「金主」の意味・読み・例文・類語

きん‐しゅ【金主】

〘名〙
① 資金を出す人。資本主。金方(きんかた)。銀方。銀主。
※雑俳・柳多留‐二二(1788)「金主がついて駕ふとんたばこぼん」
※明六雑誌‐三〇号(1875)明六社第一年回役員改選に付演説〈森有礼〉「会館建築の金主へは利子毎月幾十円」
② 特に、芝居などの興行主(座元)に資金を出す人。
滑稽本・寒紅丑日待(1816‐26)おもしろい事「此あばたっつらが当たら、だるまやみみづくが金主(キンシュ)になるだろう」
③ 金銭の所有者。また、金銀を多く所有する人。金持
※律令要略(1741)公事訴訟罪科之者取捌大概「金子拾ひ取訴出、金主出候時」 〔史記‐直不疑伝〕
④ 江戸時代、大名に金を貸す町人。利息以外に祿米日俸などを受ける者もあった。銀主。
随筆世事見聞録(1816)五「此筋者共へは金主振舞とて何程も失費の厭なく」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金主」の意味・わかりやすい解説

金主
きんしゅ

江戸時代の歌舞伎興行の資本主。「金方 (きんかた) 」ともいい,京坂では「仕打 (しうち) 」といった。金主は興行に大きく干渉することが多く,劇場経営者である座元 (本) に次ぐ権力をもっていた。京坂で特に「お仕打」と呼ばれたのはその証拠である。歌舞伎の興行は水物といわれ,不安定であったが,成功すれば大きな利益があり,金主は財をなした。成功者のなかで,化政期 (1804~30) の大久保今助幕末から明治期の千葉勝五郎有名

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普及版 字通 「金主」の読み・字形・画数・意味

【金主】きんしゆ

財主

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世界大百科事典(旧版)内の金主の言及

【歌舞伎】より

…〈座元〉は興行権の所有者であり,実質上の興行師であり,劇場の持主でもあった。興行上の経費は複数の〈金主〉に出資してもらうのであるが,座元の権威は絶対的なもので,芝居関係者から格別の尊敬を受けていた。 これに比して上方の場合は非常に特色があった。…

【興行】より

…座元の名跡は世襲であり,その座元の名前を掲げて劇場名ともした。座元は年6回の公演のつど,富裕な上層町人,芝居茶屋の主人や帳元(今日でいう一種の支配人)などからなる金主(きんしゆ)から興行資金を集めて公演を行い,興行に要した諸経費を差し引いたあと,各金主の出資に応じて利益を配分した。人形浄瑠璃(操(あやつり)座,操芝居といった)の場合も,ほぼ同様の形態であったと思われる。…

※「金主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」