酢酸エチル(読み)サクサンエチル(英語表記)ethyl acetate

デジタル大辞泉 「酢酸エチル」の意味・読み・例文・類語

さくさん‐エチル【酢酸エチル】

酢酸エチルアルコールエステルパイナップルに似た芳香のある無色液体。引火しやすい。果実エッセンス・溶剤などに使用化学式CH3COOC2H5

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精選版 日本国語大辞典 「酢酸エチル」の意味・読み・例文・類語

さくさん‐エチル【酢酸エチル】

〘名〙 (エチルはÄthyl) 酢酸とエチルアルコールから生成したエステル。化学式 CH3COOC2H5 果実様の強い香気のある無色の液体。天然果実油、ぶどう酒日本酒コニャックなどの中に存在香料、溶剤として広く用いられる。酢酸エステル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酢酸エチル」の意味・わかりやすい解説

酢酸エチル
さくさんえちる
ethyl acetate

代表的なエステルで、天然にはパイナップルなどの果実中に存在し、その香気の成分となっている。ワインや日本酒にも微量含まれている。酢酸とエタノール(エチルアルコール)とを少量の硫酸の存在下で加熱すると生成する。この反応で硫酸は触媒と脱水剤を兼ねている。


常温では芳香を有する無色で揮発性の液体。エタノール、エーテルベンゼンなどほとんどすべての有機溶媒と任意の割合で混じり合う。水にもかなり溶ける。水があると徐々に加水分解をおこして酢酸とエタノールになる。この反応は、酸やアルカリが共存すると促進される。種々の有機物を溶かす能力が大きいので、塗料など広範囲にわたって溶剤として使われる。また、香料として、果汁、果実エッセンス、菓子などに用いられる。

[廣田 穰]

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化学辞典 第2版 「酢酸エチル」の解説

酢酸エチル
サクサンエチル
ethyl acetate

C4H8O2(88.11).CH3COOC2H5.エタノールと酢酸とを硫酸の存在下で加熱するか,エタノールを無水酢酸または塩化アセチルと反応させると得られる.特有の果実の芳香をもつ無色の液体.融点-83.6 ℃,沸点76.8 ℃.0.902.1.3723.引火点-3 ℃.水に微溶,エタノール,アセトン,クロロホルムやエーテルに可溶.溶剤や果実香料のほかに,繊維やプラスチックなどの化成品の製造原料に用いられる.[CAS 141-78-6]

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百科事典マイペディア 「酢酸エチル」の意味・わかりやすい解説

酢酸エチル【さくさんエチル】

化学式はCH3COOC2H5。芳香のある無色の液体。融点−83.6℃,沸点76.82℃。水に可溶。果実,ブドウ酒,日本酒などに含まれる。硫酸の存在下に酢酸とエチルアルコールを加熱蒸留してつくる。溶剤および香料として使用。
→関連項目酢酸エステル

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「酢酸エチル」の意味・わかりやすい解説

酢酸エチル
さくさんエチル
ethyl acetate

酢酸エステルの一つ。化学式 CH3COOC2H5 。パイナップル中に存在し,またワイン,日本酒にも存在する。硫酸の存在で酢酸とエチルアルコールの反応によって得られる。沸点 77.15℃。水に可溶,またほとんどの有機溶媒に溶解する。香料,溶剤に用いられる。

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栄養・生化学辞典 「酢酸エチル」の解説

酢酸エチル

 C4H8O2(mw88.11).CH3COOC2H5.芳香を有し,着香剤として用いる.有機溶媒としても広く使われる.

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改訂新版 世界大百科事典 「酢酸エチル」の意味・わかりやすい解説

酢酸エチル (さくさんエチル)

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世界大百科事典(旧版)内の酢酸エチルの言及

【加水分解】より

…水による分解反応を広く加水分解といい,酢酸ナトリウムのような塩(えん)の加水分解,酢酸エチルのようなエステルの加水分解,デンプンやタンパク質の加水分解など,化学反応には加水分解の例が多い。強酸と強塩基との中和によりできた塩,たとえば食塩は,水に溶かすとナトリウムイオンと塩素イオンに電離するだけであるが,酢酸ナトリウムや炭酸ナトリウムのように弱酸と強塩基からできた塩,塩化アンモニウムや硫酸アルミニウムのような強酸と弱塩基からできた塩,さらに酢酸アンモニウムのように弱酸と弱塩基からできた塩は,それを水に溶かすと加水分解が起こる。…

【酢酸エステル】より

…無水酢酸にアルコールを作用させても合成できる。
[酢酸エチルethyl acetate]
 酢酸とエチルアルコールから得られるエステル。化学式CH3COOC2H5。…

※「酢酸エチル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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