遙か・悠か(読み)はるか

精選版 日本国語大辞典 「遙か・悠か」の意味・読み・例文・類語

はる‐か【遙か・悠か】

(「か」は接尾語)
[1] 〘形動〙
[一] 空間的に遠く隔たっているさま。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
太平記(14C後)二「如何せんと求る処に、遙(ハルカ)の澳(おき)に乗うかべたる大船」
[二] 時間的に遠く隔たっているさま。また、時間的に長いさま。
蜻蛉(974頃)下「おもひそめ物をこそおもへ今日よりはあふひはるかになりやしぬらん」
※梵舜本沙石集(1283)九「『又かく御許し候も、可然事にこそ』とて、遙に御物語ありけり」
[三] 心理的にいちじるしく隔たっているさま。差違のはなはだしいさま。
① 近づきがたく隔たっているさま。奥行のあるさま。深遠
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「况や仏教の幽(ハルカニ)(くは)しきをば、豈に能く仰ぎ測らむや」
② 縁遠いさま。また、あえて遠ざけるさま。
源氏(1001‐14頃)蛍「いとはるかにもてなし給ふうれはしさを、いみじく恨み聞え給ふ」
③ 心が進まず、自分に関係のないものと思うさま。
※源氏(1001‐14頃)宿木「そそのかし聞え給へど、いと、はるかにのみ思したれば」
④ 程度がはなはだしいさま。
今昔(1120頃か)四「此の飯(いひ)の味ひ遙に変じて悪(あしき)也」
他人の顔(1964)〈安部公房〉白いノート「この誘いの効果は、予想をはるかに超えて現れたのである」
[2] 〘副〙
① 空間的に遠いさまを表わす語。ずっと遠くに。
※虎明本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初)「罷出たる者は、はるか遠国の者でござる」
② 時間的に遠いさま、また、時間的に長いさまを表わす語。長い間ずっと。
※玉塵抄(1563)一六「はるかさきにあらうことを今云い記することを懸記と云ぞ」
③ 程度がはなはだしいさまを表わす語。ずっと。
評判記野郎虫(1660)上原庄太夫「舞おもはしからず、〈略〉偃師が周王のいかりをおこせしには、はるかおとれる成べし」
はるか‐げ
〘形動〙
はるか‐さ
〘名〙

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