遠国(読み)おんごく

精選版 日本国語大辞典 「遠国」の意味・読み・例文・類語

おん‐ごく ヲン‥【遠国】

〘名〙 (「おんこく」とも)
律令制行政区画である国を、都からの距離によって、近・中・遠の三等に分けた一つ。延喜式によると、遠国には、関東以北、越後以北、安芸石見以南および土佐国が含まれた。
※令集解(738)賦役「依民部省式近国十七〈略〉中国十四〈略〉遠国十六」
② 遠くはなれた国。都から遠くはなれた辺鄙(へんぴ)な土地。えんごく。⇔近国
源平盛衰記(14C前)四六「さては遠国(ヲンコク)へ趣き給はんこそ悲けれ」
③ (「追い来(こ)くら」からか) 七月中、大阪で明治中期頃まで行なわれたという女の子の遊び。また、そのときうたう盆歌幼児を先頭に、めいめい前の子の帯をつかんで一列になり、うたいながら練り歩くもの。歌が「おんごくなはは」というはやしことばではじまるところから名づけられた。《季・秋》
※雑俳・後の栞(1816)「放れ放れにおんごくの行溜水」

えん‐ごく ヱン‥【遠国】

〘名〙 遠く離れたところにある国。また、都から遠い地方。おんごく。⇔近国
※源平盛衰記(14C前)一八勅勘を蒙(かうふ)り遠国(エンコク)へも下るぞかし」 〔周礼梓人

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デジタル大辞泉 「遠国」の意味・読み・例文・類語

おん‐ごく〔ヲン‐〕【遠国】

都から遠く離れた国。辺鄙へんぴな所。えんごく。
律令制で、都から遠く離れた国々。関東・越後以北、石見いわみ安芸あき以西、四国伊予土佐、および九州諸国。→近国中国

えん‐ごく〔ヱン‐〕【遠国】

遠い国。特に、都から遠く離れた国。おんごく。

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普及版 字通 「遠国」の読み・字形・画数・意味

【遠国】えん(ゑん)ごく

遠方の国。〔穀梁伝、僖二年〕中國にては齊・宋をし、國にては江・す。

字通「遠」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「遠国」の解説

遠国
おんごく

律令制下,京からの行程によって畿外諸国を分類した遠・中・近の3段階のうち最も遠いもの。調庸物の運京出発時期の基準となる。「延喜式」では東海道の相模以遠,東山道の上野以遠,北陸道の越後と佐渡,山陰道の石見と隠岐,山陽道の安芸以遠,南海道の伊予と土佐,西海道諸国が該当する。

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