赤人寺(読み)しやくにんじ

日本歴史地名大系 「赤人寺」の解説

赤人寺
しやくにんじ

[現在地名]蒲生町下麻生

下麻生しもあそう集落のうちにある。養老山と号し、天台宗本尊如意輪観音。隣接して山部やまべ神社がある。寺伝によれば、万葉の歌人山部赤人による創建で、本尊もまた赤人の作と伝え、一八世紀前半に成立した「輿地志略」や一九世紀初頭の「蒲生旧趾考」にも里人の言として同様の伝承が載る。しかし中世寄進状類では「あかう寺」(嘉暦四年九月一三日「円阿弥寄進状」山部神社文書、以下断りのない限り同文書)、「あかう堂」(文和元年一〇月一八日ひめくま女寄進状)、「赤人堂」(元徳二年一月日法阿弥陀仏寄進状)などとあり、なかでも赤人堂の表記が最も多く、実際には観音信仰を核とした村堂(観音堂)であり、やがて地誌類などを通して山部赤人との関係が取りざたされ、江戸時代後期には赤人創建の寺という伝説が定着したと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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