賢ら(読み)さかしら

精選版 日本国語大辞典 「賢ら」の意味・読み・例文・類語

さかし‐ら【賢ら】

〘名〙 (「ら」は接尾語)
[一] (形動) 賢人らしくふるまうこと。利口そうにふるまうさま。気丈がるさま。もの知りぶるさま。
万葉(8C後)三・三四四「あなみにく賢良(さかしラ)をすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似る」
源氏(1001‐14頃)朝顔「さかしらにかきまぎらはしつつおぼつかなきこともおほかりけり」
[二] さし出ること。また、そのさま。
① (形動) 自ら進んですること。また、そのさま。
※万葉(8C後)一六・三八六〇「大君の遣(つかは)さなくに情進爾(さかしらニ)行きし荒雄ら沖に袖振る」
② (形動) でしゃばること。また、そのさま。お節介
※伊勢物語(10C前)四〇「さかしらする親ありて」
※源氏(1001‐14頃)紅梅「翁どもにさかしらせさせてしのびやかにとかへすがへすのたまひて」
③ (━する) さし出口をきくこと。讒言すること。
蜻蛉(974頃)上「ちかき隣にこころばへ知れる人、いづるにあはせてかく言へり。藻塩やくけぶりの空にたちぬるはふすべやしつるくゆるおもひに など、隣さかしらするまでふすべかはして」
※宇治拾遺(1221頃)一二「さかしらする人をば、かくぞする。やすきことは、ひとへに罪重くいひなして、悲しきめを見せしかば、其答に、あぶりころさんずるぞ」
さかしら‐が・る
〘自ラ四〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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