賢人(読み)けんじん

精選版 日本国語大辞典 「賢人」の意味・読み・例文・類語

けん‐じん【賢人】

〘名〙
知恵があり、行ないのすぐれている人。聖人に次いで徳のある人。賢明な人。賢者(けんじゃ)
将門記(940頃か)「賢人明かならむと欲(ねが)ふも讒人之を隠す」
平家(13C前)三「当家棟梁当世の賢人にておはしければ」 〔論語‐述而〕
② (清酒を「聖人」というのに対していう) 「にごりざけ(濁酒)」の異称
懐風藻(751)秋日於長王宅宴新羅客〈下毛野虫麻呂〉「祖餞百壺、敷一寸而酌賢人之酎」 〔魏志‐徐邈伝〕

さかしら‐びと【賢人】

〘名〙 でしゃばって世話をやいたりする人。また、利口ぶる人。
源氏(1001‐14頃)蛍「空薫物(そらたきもの)、心にくきほどに匂はして、つくろひおはするさま、親にはあらで、むつかしきさかしら人の、さすがに、あはれに見え給ふ」

さかし‐びと【賢人】

〘名〙 かしこい人。賢明な人。
書紀(720)天智八年一〇月(北野本訓)「時の賢(サカシヒト)聞きて」

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デジタル大辞泉 「賢人」の意味・読み・例文・類語

けん‐じん【賢人】

聖人に次いで徳のある人。また、かしこい人。賢者。
濁り酒のこと。清酒を聖人にたとえるのに対していう。賢酒
[類語]賢者識者大賢賢哲哲人先哲前哲先賢前賢思想家

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「賢人」の解説

けんじん【賢人】

秋田の日本酒。酒名は、江戸時代の紀行家・菅江真澄が地元民とにごり酒を酌み交わした折に「呑むほどに酔うほどに冴えて候」と喜び、地元民を「賢人」とたたえたという逸話にちなみ命名。軽快な口当たりの本醸造にごり酒。原料米はめんこいな。仕込み水は奥羽山系の伏流水蔵元の「鈴木酒造店」は元禄2年(1689)創業。所在地は大仙市長野字二日町。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

普及版 字通 「賢人」の読み・字形・画数・意味

【賢人】けんじん

賢者。

字通「賢」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の賢人の言及

【酒】より

…漢の武帝や王莽(おうもう)の時代には塩,鉄とともに酒の専売制が行われ,また曹操や劉備は禁酒令をしいたことがあったが,このような統制もとりたてていうほどのことはなかった。専売制なら酒の消費量がふえればふえるほど国家の財政はゆたかになるわけであり,曹操が禁酒令をしいたときにも,清酒が〈聖人〉,濁り酒が〈賢人〉の隠語のもとにひそかに飲まれていたのである。大伴家持の歌,〈酒の名を聖(ひじり)と負(おほ)せし古の大き聖の言(こと)のよろしさ〉はこれにもとづく。…

【聖人】より

…しかし一方,戦国の諸子百家の中には,聖人に重い意味を与えようとする議論が見られる。一般的にいえば,賢人と対比していうとき,聖人は物事の創始者であり,賢人はその祖述者をいうが,具体的な聖人像は諸子のそれぞれによって大きく異なっている。儒家では《論語》に聖人の語がいくつか見えるが,その内容を詳しくは述べていない。…

※「賢人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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