(読み)たぶらかす

精選版 日本国語大辞典 「誑」の意味・読み・例文・類語

たぶらか・す【誑】

〘他サ五(四)〙 (「たぶろかす」の変化した語) うまいことを言ったり、ごまかしたり、あやしい手段を用いたりして人をだます。あざむく。たむらかす。たぼろかす。たぼらかす。たぶらす。
※観智院本三宝絵(984)中「公家に讒して、是は世を狂(タフラ)かすあしき物なり。国のためにあしかるべしと申」
十訓抄(1252)七「此人はかく行徳あるやうなれども、無智の間終には魔界のためにたぶらかさるべし」

たぶろか・す【誑】

〘他サ四〙 (「たぶる(狂)」に対する他動詞) =たぶらかす(誑)
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「但に凡庸を誑(タフロカシ)(おふな)かすのみに非ず」
源氏(1001‐14頃)柏木「人の心たふろかして」

たぼろか・す【誑】

〘他サ四〙 =たぶらかす(誑)
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)三「斗称をもちて、欺き誑(タボろカシ)、偽りを以て真と為し」

たらし【誑】

〘名〙 (動詞「たらす(誑)」の連用形名詞化) だますこと。また、その人。詐欺師。〔杜詩続翠抄(1439頃)〕
※虎明本狂言・入間川(室町末‐近世初)「あのたらしが、やるまひぞやるまひぞ」

たむらか・す【誑】

〘他サ四〙 =たぶらかす(誑)
宝物集(1179頃)「春駒の身をそこなひ、秋之鹿之命を失ふ、婬欲にたむらかさるるがゆへなり」

たぼらか・す【誑】

〘他サ四〙 「たぶらかす(誑)」の変化した語。
※日蓮遺文‐主師親御書(1255)「無明の酒にたぼらかされて」

たぶら・す【誑】

〘他サ四〙 =たぶらかす(誑)〔法華経音訓(1386)〕

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