ぼら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぼら」の意味・わかりやすい解説

ぼら

九州南部に分布する霧島山、桜島噴出した軽石質火山灰層の俗称。不毛のため、古来、農民たちをその地表からの排除「ぼら抜き」に難渋させ、随所堤防のように積み上げられてあり、特異な景観を呈している。霧島山からの「霧島ぼら」(黄褐色)は鹿児島県曽於(そお)市財部(たからべ)町地区から北―東に分布し、宮崎県都城(みやこのじょう)市北西付近では厚さ約2メートルもあり、縄文後期の噴出とされている。鹿児島県桜島東方の台地上に厚く堆積(たいせき)している「桜島ぼら」には、1779年(安永8)大噴火の「安永ぼら(あんえいぼら)」(淡黄灰色)と1914年(大正3)大噴火の「大正ぼら」(灰白色)があり、厚さは同県牛根で前者は2.4メートル、後者は1メートル前後である。これら3種のぼらは、色の違いなどで、肉眼で容易に識別できる。なお、鹿児島県開聞(かいもん)岳からの同様なスコリア質火山灰層は「こら」とよばれるが、厚さは山麓(さんろく)で約50センチメートルである。

諏訪 彰]

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世界大百科事典(旧版)内のぼらの言及

【火山灰土壌】より

…シラス台地はもろくて,しばしば大雨で崩れて白い崖を露出する。桜島から噴出した新しい未風化の軽石層は〈ぼら〉と呼ばれ,表土のすぐ下に出るため桜島ダイコンなどの深根性作物にとって邪魔になる。また鹿児島沖の鬼界カルデラから広範囲に噴出したガラス質火山灰の風化物は,九州南部では〈あかほや〉,熊本では〈いもご〉と呼ばれる。…

【特殊土壌】より

…シラス(南九州に分布する斜長石英粗面岩質の火山堆積物),ボラ(南九州に分布する軽石の俗称),コラ(鹿児島県薩摩半島南端に分布するやや固結した火山砂礫(されき)層),マサ(富士山周辺の火山砂礫層),アカホヤ,オンジ,イモゴと呼ばれる火山灰層などのように,特殊な火山噴出物および花コウ岩風化土,その他とくに侵食をうけやすい土壌をいう。九州,四国,中国を中心に分布するが,とくに南九州地方に広く分布する。特殊土壌地帯は侵食に弱く,豪雨時にはきわめて大きな被害をうけやすく,また農業の生産性も低いが,これらの土壌の排除または破砕により農業の生産性は著しく向上している。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」