詰開(読み)つめひらき

精選版 日本国語大辞典 「詰開」の意味・読み・例文・類語

つめ‐ひらき【詰開】

〘名〙 (「つめびらき」とも)
① 短くつめたり、長くのばしたりすること。調節。
※申楽談儀(1430)拍子の事「拍子のつめひらきは、たとへば一間・二間・三間と、其間(そのま)其間定れるがごとし」
蹴鞠(けまり)で、その輪をつめ寄せたり開いたりすること。
※遊庭秘抄(1360頃か)開付向事「つめびらきのたがふゆへに鞠落也」
③ 貴人の前から退出する時、立つ前に左か右へ身をひらきまわって立ち上がること。転じて、出所進退、立ち居振舞。また、挨拶。〔日葡辞書(1603‐04)〕
随筆・貞丈雑記(1784頃)一「つめひらきと云はひざまはりの事也」
④ 手紙や贈物などについて、こまかく気を配ること。
※評判記・色道大鏡(1678)一「又詞の外に、人々への音信(いんしん)・音物(いんぶつ)などに付て、そこそこへ気を配るを、つめひらきといふ」
⑤ かけひき。談判。応対。
※評判記・赤烏帽子(1663)玉江三四郎「能書也、つめひらき勿躰、一座彌良の手本也」
※談義本・当世下手談義(1752)一「扨も不思議な詰開(ツメヒラキ)
帆船が向かい風をうけて最大限に風上に帆走することをいう船方の語。横風帆走の開き走りの限界を示す意味でいうもの。
※雑俳・登梯子(1705)「奈良茶にも歩けと船路の詰めひらき」

つめ‐ひら・く【詰開】

〘他カ四〙
① 短くつめたり長くのばしたりして調節する。加減する。
※風曲集(1423頃)「句により、文字によりて、ひゃうしをつめひらくべき事、師伝の習道也」
② 談判する。掛け合う。話をつける。
※俳諧・新増犬筑波集(1643)油糟「右も左もさいはもらさず 歌合古事古哥引てつめひらき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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