西和賀(読み)にしわが

改訂新版 世界大百科事典 「西和賀」の意味・わかりやすい解説

西和賀[町] (にしわが)

岩手県中西部,和賀郡の町。2005年11月湯田(ゆだ)町と沢内(さわうち)村が合体して成立した。人口6602(2010)。

西和賀町北部の旧村。和賀郡所属。人口3974(2000)。西は真昼山地を境に秋田県に接し,中央を北上川の支流和賀川が南流する。村域の8割が山林で,県内では最も雪の多い地域の一つである。主産業は農業で,民謡沢内甚句》に〈沢内三千石お米の出どこ〉と歌われた米を中心に肉牛乳牛畜産も盛ん。近年,葉タバコや高冷地野菜などの畑作物も伸びている。碧祥寺博物館にあるマタギ狩猟用具と丸木舟は重要有形民俗文化財に指定されている。

西和賀町南部の旧町。和賀郡所属。人口4009(2000)。奥羽山脈中南部に位置し,町の中央部を北上川支流の和賀川が東流する。日本海側気候で県内でも有数の豪雪地である。江戸時代は盛岡藩沢内通り代官所の支配下にあった。1882年の平和街道(現,国道107号線),1924年の国鉄横黒線(現,JR北上線)の開通によって交通網が整備され,銅を中心とする金属鉱山の開発が進み鉱山の町として栄えた。しかし第2次大戦後,貿易自由化のあおりで閉山が相次いだため,現在は湯本温泉湯川温泉を中心とする観光・サービス業が町の経済を支えている。平地に乏しく,農業は米作,畜産が行われるが振るわず,兼業農家大部分である。1965年東部の大荒沢に多目的の湯田ダム(総貯水量1万1416m3)が完成し,県内最大の人造湖錦秋湖が生まれた(2008年現在,湛水面積が県内最大の人造湖は御所湖)。秋田自動車道のインターチェンジがある。和賀川一帯は湯田温泉郷県立自然公園に指定されており,先土器~弥生時代大台野遺跡などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報