血液ガス検査(読み)けつえきガスけんさ

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「血液ガス検査」の解説

血液ガス検査

基準値

pH :7.35~7.45

PaO2:80~100Torr

PaCO2:35~45Torr

HCO3-:22~26mEq/ℓ

肺の機能などを調べる検査

 血液中に存在する酸素二酸化炭素などを総称して、血液ガスといいます。血液中の酸素と二酸化炭素の分圧は、肺によっていつもほぼ同じになるように調節されています。

 血液ガス検査は動脈血液中のpH(ペーハー、ピーエイチ)、酸素分圧(PaO2)、二酸化炭素分圧(PaCO2)、重炭酸イオン(HCO3-)などを測定して、肺の機能や生体酸塩基平衡などを把握する検査です。

アシドーシスとアルカローシス

 酸塩基平衡の酸とは水素イオンを与える物質で、塩基とは水素イオンを受け取る物質のことです。この溶液中の水素イオンの濃度をpHといい、7が中性、0~7が酸性、7~14をアルカリ(溶液中の塩基の総称)性といいます。血液のpHは7.35~7.45の弱アルカリ性で、この基準値より低い場合をアシドーシス、高い場合をアルカローシスといいます。

 これらは、呼吸性・代謝性の変化によっておこります。例えば、肺の呼吸機能に異常がおこって酸素のとり入れが不十分になると、酸素分圧が低下して二酸化炭素分圧が上昇します。二酸化炭素は体内では酸になるため、二酸化炭素分圧の上昇は体内に酸がたまることを意味し、その結果、アシドーシスになります。

 このようなpHの変化がみられたら、ほかの血液ガスの値や病態などから下記のような疾患を疑って、さらにくわしく調べていきます。

■アシドーシス、アルカローシスをおこすおもな病気など

呼吸性アシドーシス→慢性閉塞性肺疾患、肺結核後遺症、神経筋疾患、睡眠時無呼吸症候群、肥満

呼吸性アルカローシス→過換気症候群、間質性肺炎、肺線維症、肺水腫、肝不全、甲状腺機能亢進症、妊娠

●代謝性アシドーシス→腎不全、糖尿病性アシドーシス、尿細管性アシドーシス、下痢

●代謝性アルカローシス→ループ利尿薬投与、胃液の喪失、重炭酸投与による下痢、原発性アルドステロン症、クッシング症候群

医師が使う一般用語
「ケツガス」「ケツエキガス」

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報