茶子(読み)ちゃのこ

精選版 日本国語大辞典 「茶子」の意味・読み・例文・類語

ちゃ‐の‐こ【茶子】

〘名〙
① 茶を飲む時に添える菓子や果物。茶菓子。茶うけ。
※竹むきが記(1349)下「ちゃのこなど出だしてすすめらる」
彼岸会の供物
※談義本・つれづれ睟か川(1783)三「彼岸の茶(チャ)の子(コ)歳暮の祝義もってきたやうに、あがり口での請取渡し」
③ 仏事の供物、または配り物。
※俳諧・大坂独吟集(1675)上「墓まいり扨茶の子には餠ならん なみだかた手に提る重箱〈意楽〉」
朝飯。または、農家などで朝飯前に仕事をする時などにとる簡単な食事。また、間食。朝茶の子。
※咄本・戯言養気集(1615‐24頃)下「明日は公事に出んぞ。かちごめをめしのちゃのこにいたし候へ」
⑤ (形動)(茶うけの菓子は腹にたまらないで気軽に食べられるところから) 容易にできること。たやすいさま。お茶の子。お茶の子さいさい。
歌謡・松の葉(1703)四・草摺引「びりこくたいしばかだわう、おにをちゃのこのきんぴらだんべい」
浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)中「常住きってのはっての是程の喧嘩は、おちゃこのおちゃこの、茶の子ぞや」

ちゃ‐こ【茶子】

〘名〙 茶店などで、客に茶を入れて出す女。茶くみ。
御伽草子・猫の草紙(江戸初)「ちゃこ、おはしたの前垂帷子

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の茶子の言及

【ノリ(海苔)】より

…【山口 勝巳】
【料理】
 《庭訓往来》に〈酢菜者……甘苔,塩苔〉とあり,古来からノリは生のものや乾燥品を酢や酢みそ風のもので食べたり,汁の実に用いたようである。《尺素(せきそ)往来》には〈茘枝(れいし)〉〈竜眼(りゆうがん)〉などの果物などとともにノリが〈茶子(ちやのこ)〉,つまり菓子に用いられるとしており,《料理物語》(1643)にも十六島(うつぷるい)海苔は〈くはしにも〉とされているが,これらはどんな形で茶うけにしたものかわからない。ちなみに十六島海苔は現島根県平田市北部にある十六島の名産として知られていた。…

【麩】より

…日本では鎌倉時代に供御の麩を貢献した唐粉供御人(供御人)がいた。南北朝ないし室町初期にはかなり普及していたようで,《異制庭訓往来》や《遊学往来》には茶子(ちやのこ),つまり茶請(ちやうけ)の一つとして〈麩指(ふさし)物〉の名を挙げている。これは串(くし)にさした焼麩をいったもののようで,焼麩を茶菓子にした例は江戸時代にも多く見られる。…

※「茶子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」